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復讐者  作者: 安慶
経済戦争
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7、キングウルフの悩み

 ライバの町を颯爽と歩く女性がいる。

「今の女いいなあ。」

今しがた通り過ぎた女を見ながら、とある冒険者が言った。

「見たことない女だな。他所から流れてきたか。」

「3人パーティーか。男2人が邪魔だな。」

「ランクどれくらいかな。」

「声かけてみるか。」

様々な男たちの注目を集める中、茶色い髪をなびかせながら女はライバの屋敷へと向かった。

「何用で。」

屋敷の門前で警戒していた衛兵が女の来訪に警戒している。

「ライバ様とお約束をしています。レイナが来たと伝えてください。」

 女がニッコリ微笑みながらそう伝えると、1人の衛兵が走って屋敷へと入っていった。

少し待っていると、まずライバが、続けてライルが走って屋敷から出てくる。

「いやあ、レイさ…レイナさん、初めまして。こちらへどうぞ。」

ライバがニコニコしながら3人を屋敷へと招き入れる。

 衛兵に声が届かないところまで来ると、ライバは声を潜めてレイナに話しかけた。

「見違えましたよ。まさか女性でいらっしゃるとは。」

側にいるライルは困惑顔だ。

「父様、こちらの方は。」

「うん?知り合いの冒険者さんですよ。」

ライバとレイナの笑顔に、ライルはますます困った顔をしている。

「それでキングウルフさんが。」

「そうです。何やら相談したいことがあると。」

 レイナたち一行は屋敷を通り過ぎ、ライバの従魔たちが暮らすエリアへとやってきた。

ここにはレイたちに保護された、アレスのお母さんであるキングウルフたちも住んでいる。

大きな部屋の中央に玉座のように落ち葉が敷かれ、キングウルフが鎮座していた。

「お久しぶりです。」

レイナが挨拶する。

「久しぶりだな。大分雰囲気が変わったようだが。」

鼻をスンスンしながらキングウルフがレイナの匂いを嗅いでいる。

「レイだったか。髪を伸ばしたのか。」

「…!」

ライルが驚いた顔をして自分の父親を見上げた。

父親であるライバはウインクをしながら人差し指を口に押し当てる。

「そのようなものです。で相談というのは。」

「出来ればレイだけと話したい。」

キングウルフは困ったような顔をライバたちに向け、部屋から出るように促す。

ライバたちが渋々部屋から出ていくと、堰を切ったようにキングウルフが話始めた。

「耐えられんのだ。今すぐここを出ていきたい。」

「どうしました。」

「あの眼鏡をかけた男だ。狩りに行くにしてもいちいちついてくる。子供がくしゃみをしようものなら、ここに泊まり込んで看病しようとするんだぞ。過保護すぎる。」

「出ていくにしても隣の領は危険です。」

 ローミ領はキングウルフの毛皮を狙っている。

タリカ領に連れて行くにしても目立ちすぎるし、何より抜け穴を通れない。

「迷いの森に良いところがあってな。岩山にある洞窟なんだが、ダンジョンになっていて。何やらお前がダンジョンを探しているというので呼んでもらった。」

 レイは心の中でガッツポーズをする。

3つ目のダンジョンコアが手に入りそうだ。

レイはダンジョンコアを手に入れようと、ひそかにライバとドインに連絡を取っていた。

野良ダンジョンで潰してもよい所があったら、彼らから連絡が入る手筈になっている。

「では日が高いうちに早速行きましょうか。」

「うむ。」

 周りにいたウルフたちも立ち上がり、町の外に出ようと駆けだしていく。

「えっちょっと何を。」

慌てるライバを尻目に、町の外へと出て迷いの森の中へと入っていく。

「もう話は終わったんですか。」

聞きなれた声がしてレイが振り返ると、近くの茂みからガサゴソとサクソウが出てきた。

続いてロックウッドの面々が出てくる。

 実はレイに何かあった時のために、ロックウッドが少し離れた場所から警護していたのだ。

ミナが、レイたちが迷いの森に入ることを聞きつけて先回りをしていた。

「ふあああ、緊張した。」

レイの後ろでチルがドサッと座った。

その隣ではジャミが「また迷いの森かよ~。」とブツブツ文句を言っている。

チルとジャミはあまり顔が知られていないだろうということで、レイの付き添いでライバと面会していた。

チルは大領主との面会で緊張していたのだろう。

気が抜けたように座り込んでいる。

「じゃ、行こう。案内してもらえますか。」

キングウルフに案内を頼む。

「そうだな。こっちだ。」

キングウルフの後に続き、レイたちは森の奥へと入っていった。

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