6、合流
キッコーリ村を離れて3週間後、
「レイさーん。」
トムがアッカディー王国の砦を越えてやって来た。
大きく手を振って喜んでいる。
別れる直前に喧嘩をしたからか、レイとトムは少し照れくさそうだ。
マールやスミスも合流したため、主要メンバーで今後の話し合いをする。
「草木も生えないって厳しいな。」
スミスは難しい顔で腕を組んでいる。
「夜冷えるって、体に堪えるさね。」
マールはため息をついた。
「マールさん、厳しいようだったらキッコーリ村に。」
「戻るもんかね。かなりきな臭いことになっとるさね。危ない危ない。」
レイの提案をマールが拒否する。
聞くと、税の取り立てが厳しくなっているらしい。
その他にも盗賊が増えたり、魔物の被害が増えたりしているそうだ。
アッカディー王国の方が、気候が厳しくてもマシらしい。
「でもダンジョン作りは上手くいってるんだね。」
両腕をレイに治してもらったチルが元気に言う。
レイはキングユジュカウの魔石を使ったダンジョンも作り、飲み水と食料を確保した。
だが今後のことを考えるとダンジョンが足りない。
「寒さをしのぐために木も欲しいし、綿とかも欲しいですな。」
トムも色々な材料や素材が欲しいという。
スライムの魔石を使った水ダンジョンに木を植えたいが、どのようなダンジョンになるか分からないため植えられない。
ダンジョンを増やしたいが、持っているダンジョンコアを使ってしまったため、これ以上増やせなかった。
「ダンジョン、管理されてないのがシュミム王国かアッカディー王国にあれば良いですな。」
「野良ダンジョン、どこにあったっけ?ダンジョンコア欲しいよね。」
カンタとミナもダンジョンを増やすのに賛成なようだ。
ダンジョンコアが取れる野良ダンジョンを探す提案をする。
全員で話し合っていると夜になり、レイの作った建物の中で寝ることにする。
「何か寒いわね。」
布団を被りながらレシーアが小刻みに震えている。
ここは岩山に挟まれた荒れ地だ。
夜になると急激に寒くなる。
寒さをしのごうとタックとフクンとアレスは、レイとトムの間で団子状態になって眠っている。
「やっぱり、ちょっと1匹貸してほしい。」
同じく寒さに震えるロックが1匹と一緒に寝たいと言ってきた。
「…。」
3匹は今の温もりを手放したくないようだ。
寝たふりをしてロックとレシーアの熱い眼差しをかわしている。
ロックとレシーアの恨めしそうな視線から目をそらし、レイとトムは眠りについた。




