4、希望のダンジョン
「どうすっかな。」
次の日は朝から3人で魔法袋を漁っていた。
何か使えるものはと取り出しては地面に並べていく。
大量の水と食料が入れられているのだが、いつまでもつか分からず、かといってシュミム王国に戻ることも出来ない。
レイは自分が元から持っている魔法袋を漁った。
するとペガルダンジョンから持ち去ったダンジョンコアが出てきた。
「これ。」
黒く光るダンジョンコアを見つめながら、レイはかつてのタックたちとの会話を思い出していた。
ダンジョンコアと魔石を組み合わせてダンジョンが作れる。
ダンジョンを作れば、その中で何か出来るのではないか。
一縷の望みをかけて、レイは武器を手に荒れ地に迫るように立っている岩山の方へと歩いて行った。
「レイ、何するんだ。」
レイの行動に気が付いたロックが尋ねる。
「ダンジョン作ろうと思って。」
「ダンジョン?」
「魔力が溢れてるんだったら作れるだろ。何かダンジョンで出来るかも。」
ロックとミナも武器を手にレイの元へと来た。
3人で岩山の側面に穴をあけていく。
「タック。どれくらい掘れば良い?」
「あんまり深くなくて良いにゃ。」
暇なのか3匹もレイの足元に近寄ってきた。
撫でてほしいのか、フクンが足元をスリスリしている。
何回か撫でた後、危ないからねとフクンを少し離れた場所に座らせて、3人で掘り進める。
タックからOKが出た後、レイは入口付近の壁に小さな穴を開け、ダンジョンコアとスライムの魔石を埋め込んだ。
スライムは水辺付近にいる最弱の魔物で、素手でも簡単に倒せる。
ダンジョンコアを埋め込むと同時に、穴の中に風が吹き荒れる。
「魔力が満ちてる。」
外から様子を見ていたレイが不思議そうに風を見つめていた。
風が収まるとダンジョンの入口のような黒くぽっかりとした穴が目の前にある。
3人は武器を手に恐る恐る中に入ると、中央に大きな池があるダンジョンが生まれていた。
綺麗な水が池の中央から湧き出ている。
スライムが何匹か水辺でプルプルしていた。
「出来たな。」
目をキラキラさせてレイが辺りを見回す。
綺麗な水をすくって一口飲んだ。
とても美味しくて、飲み水として直ぐに使えそうだ。
「良いぞ。飲み水確保だ。」
ロックも嬉しそうに叫んだ。
「ダンジョンコア手に入れたら、ダンジョン作ったらここに住めそう。」
ミナの声も弾んでいる。
草木1本生えない荒れ地で、レイたちは希望を見つけた。




