3、三日菜の栽培
閉じ込められたことにショックを受けたレイはしばらく立ち尽くしていた。
だが、タックたちがお腹空いたにゃあと騒ぎだしたため、魔法袋から肉を取り出して焼き始める。
3人と3匹で車座になってたき火を囲む。
何もない荒れ地だが、たき火くらいは出来るようだ。
「どうするかな。」
肉が焼けるまでの間、レイは皆からもらった魔法袋を漁る。
マールの魔法袋から、どっさりと三日菜が出てきた。
ついでにと、三日菜の種も放り込まれている。
何もしないよりはと、その辺りの地面に三日菜を埋めて焼き上がった肉を食べ始めた。
腹が満たされ、何となくやる気が湧いてくる。
水を地面に撒き、三日菜の成長を待つことにする。
「にしても、どうしてこんなに荒れてんだ。」
レイは辺りを見渡した。
「言い伝えでは、大昔に神が戦争をしたそうだ。」
ロックの説明では、昔々2人の神がこの地で戦い周囲を荒れ地にしたそうだ。
今でも相当の魔力が残っていて、草木の成長を妨げているという。
そんなことあるのかと、側で満足そうに毛づくろいしているタックを見る。
タックは毛づくろいをやめて、レイの疑問に答えた。
「本当にゃりよ。おじいちゃんが言ってた。」
「そうなのか。」
「かなりフェンリルが暴れたらしいにゃりよ。」
「クン。」
どうやら1000年前の性悪フェンリルが相当暴れたらしい。
「フェンリルが神だったのか。」
「違うにゃ。魔物や人間が神と一緒に戦ったにゃ。」
「おじいちゃんも戦ったのか。」
「おじいちゃん、戦い苦手だったから無理にゃん。」
フクンも話に加わる。
性悪フェンリルが討伐されるよりもかなり前の話らしい。
いつ頃の話かとレイは思いを巡らせていたが、ふと埋めた三日菜の方を見ると既に芽吹いていた。
魔力に満ち溢れる地で、成長が促されたらしい。
が次の瞬間出た芽がしおれてしまい、あっという間に枯れてしまった。
「ダメか。」
レイがうなだれる。
ミナが慰めるようにレイに言った。
「もう寝ようよ。皆疲れてるから、明日考えよ。」
「そうだな。」
「だな。この辺りは魔物も出ないし、見張りは付けないで良いだろ。」
あまりの荒れ地だからか魔物も出ないとロックは言う。
レイが土魔法で建物を作り、3人と3匹は不安を胸に眠りについた。




