17.意外な来客その2
レイとトムはスミスに何度もお礼を言い、2人で今までに稼いだ金を渡そうとしたが、
「そんな半端な金いらねえ。」
と突っぱねられてしまった。
「それよりもう1人客がいるんだ。」
スミスが後ろに隠れているもう1人の客を前に押し出した。レイと同じくらいの背丈で、頑丈な体に似合わない童顔の男が出てきた。トモリーツ亭の主人だった。
トモリーツ亭の主人リーツはニコニコしながら、
「これ。はい、どうぞ。」
と2人に見慣れた袋を差し出した。
城から追い出されるときに持っていた袋だ。中を見ると宿に残していった服や下着が入っている。
「勝手ながら、汚れていた服とかは洗濯しました。はい。」
リーツはさらに2人にお金を差し出した。
「泊ってない分の宿代です。はい。」
レイとトムは袋を受け取りながら恐縮した。
彼は話していないが、きっと宿屋にも衛兵たちが来たであろう。嫌がらせをされたに違いないが、口の堅いリーツは必要なこと以外話そうとしなかった。
レイとトムが金は受け取れない迷惑料としてもらっておいてくれと言い、金を渡そうとするリーツと押し問答していた。スミスとキッコンから、次の宿代として預かっておけばいいんじゃないかと説得されたリーツが、しぶしぶ金を自分のカバンの中に収めた。
2人は感謝してもしきれないと、昼飯代と帰りの馬車代を払わせてくれと申し出た。スミスとリーツは断り、再び4人で押し問答していたが、キッコンからそれくらい払わせてやれよと言われ、レイとトムは無事2人に昼飯を奢ることが出来た。
昼食後、王都行の馬車を見送りながら、2人は親切なスミスとリーツに感謝し、明日からの魔物討伐に思いを巡らせていた。




