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復讐者  作者: 安慶
勇者と魔族とモフモフ
165/421

97.勇者の今

 レイは微笑んだまま、ドインの方に振り向いて言った。

「今話題の召喚された勇者のことか。」

「あれが勇者か。それで王族の馬車に乗ってたのか。」

「王都から来たんだ。」

「そうだな。ローミもさじを投げてな。ペガルダンジョンの間引きに失敗したらしい。」

「ハイオークも倒せないのにペガルダンジョンとはな。」

「だろ。少しの間預かって鍛えてやってたんだが、サボるし全然強くなろうとしねえし、俺のところでは役に立たねえから王都に送り返してやった。せめてオーガ倒せるようになってから来てくれって。」

「そうか。いつ頃の話だ?」

「お前らが来る少し前に送り返したかな。」

 レイは微笑んだままだ。

「ドイン、譲る奴隷の体を治したら直ぐに大部屋に行くよ。」

レイは足早に部屋から出ていった。

トムも急いで後から追いかけてくる。

「レイ。」

「トム、皆に直ぐ出発する準備をするように伝えてくれ。行き先はキッコーリ村だ。」

 トムは何かを言いかけて止め、

「分かった。」

とだけ答えた。

 レイは奴隷たちがいる部屋にズカズカと入り、ドインに譲る18人の奴隷の名前を呼んだ。

何が起こるのか分からない18人は、おずおずとレイに連れられて部屋を出ていく。

残されたトムは奴隷たちに出発の準備をするように指示する。

ロックウッドの面々やマール、鍛冶をしているスミスに声をかけ、急いで出発の準備を整える。

「大分急いでるね。何かあったのかい?」

不審に思ったマールがトムに声をかけた。

「レイさんが用事出来たって。キッコーリ村に向かう。」

 詳しい話をせずに行き先だけを告げた。

「またどっか行くのん?」

フクンが首をかしげながら聞いてくる。

トムは微笑んでフクンを抱き上げて肩に乗せた。

「ごめんね。今度はゆっくりできると思う。マールさんと馬車に乗ってて。」

「分かったん。」

フクンはトムの肩から飛び降りると、タックとアレスと一緒にマールの側に座っている。

 しばらくして険しい顔をしたレイが戻ってきた。

少し震えている。

18人全員ドインの奴隷に出来たらしい。

中には泣き叫ぶ者もいたが、何とか引き取ってもらったそうだ。

「用意出来たか。」

「あともう少しで。」

「早くしろ。ドインにも伝えてある。」

怒気の含んだ声で指示すると、レイは馬車の準備をするために足早に外へと出ていった。

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