95.ロックウッド再結成
レイはドインの配下たちに回復魔法をかけていく。
全員治すのに1週間ほどかかる見込みだ。
1回の回復魔法で魔力がごっそり削られるため、1日に回復できる人数が限られている。
その他の者も、1週間の間それぞれの仕事をこなしていた。
スミスはドインの部下と共に装備の修理をしている。
ドインの部下は完全にスミスの弟子になっていた。
「参考になります。師匠。」
と言いながら、スミスの横で揃って鍛冶をしている。
マールはジャミと一緒に、近くの森へと採集に向かった。
金目の素材がほとんど無くなったためだ。
暇が嫌なのかアレスも付いて行ってしまった。
タックとフクンも肉続きで魚が食べたくなったのか、一緒に出かけている。
レイは1週間回復魔法をかけ続け、ドインの配下の治療を終えた後、ドインに執務室に来るようにと呼ばれた。
心配したトムとレシーア・ミナ・サクソウが一緒だ。
トムと一緒に入ると、珍しくドインが机に向かっており、何かの書類にサインしていた。
ドインの前にはロックとゴザが座っている。
「まずはこれ。全部新しくしたぞ。」
ドインはトムのBランク冒険者証だけではなく、レイの奴隷たちのCランク冒険者証も用意してくれていた。
「あと、すまねえ。忘れてて遅くなっちまった。あいつと同類になりたくねえ。」
「何です?」
「ロックとゴザのことだ。お前の奴隷にするっていう。」
「あっそうか。」
「お前も忘れてんな。ちょっと待ってろ。」
ドインが2人の奴隷紋に手を当て、ドインの奴隷から解放していく。
続いてレイが魔力を流し、自分の奴隷へと変えていった。
「これで良いな。奴隷になっちまったが、ロックウッドが全員揃ったな。」
ドインが満足そうに頷いた。
「レイ、恩に着る。」
「ありがとう。」
ロックとゴザはレイと握手を交わし、部屋から出ていった。
外で待っているレシーアたちと合流するためだ。
レシーアとミナの嬉しそうな声が聞こえる。
サクソウは感謝の言葉をつぶやいていた。
「さて。」
ドインが再び座る。
「報酬の話だが。」
ドンと机の上にドインの手のひらよりも大きい袋を置いた。
中にはギッチリと金貨が入っている。
「これで勘弁してくれねえか。大分かき集めたんだが。」
レイは袋の中身を見ると机の上に置き、ドインの方に押し返した。
「受け取れない。」
「何?」
「それよりも、俺の頼みを聞いてくれ。」
レイは机に身を乗り出すようにして話始めた。




