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復讐者  作者: 安慶
勇者と魔族とモフモフ
161/421

93.奇跡

「痒い痒い痒い痒い痒いあああああ。」

のたうち回るゴザに辺りは騒然となる。

「レイ!何やった!」

ロックはレイを睨みつけた。

「回復魔法を。何で。」

レイの回復魔法を受けてゴザが突然苦しみだした。

何が起こっているのか分からず、レイはオロオロするばかりだ。

「ポーションを。」

駆け付けたサクソウがゴザに状態異常用のポーションを飲ませようとする。

「どうした。」

騒ぎを聞きつけてドインまでやってきた。

「俺は何も。どうしたら。」

 狼狽えるレイの目の前で突然それは起こった。

グシャアという音がしてゴザの右肩から腕が生えた。

『えっ』

その場にいた全員が固まる。

「はっえっ。」

当の本人も自分に何が起こったのか分かっていない。

 それからは祝いどころではなく大騒ぎになった。

「腕生えたああああ。」

「ゴザ、腕、ゴザ」。」

「異常ないですか。痛みとか。」

 意味なく叫ぶ者、何を言っているのか分からない者、冷静にゴザの体を心配する者が口々に何かを叫んでいる。

サクソウがいち早くゴザに駆け寄り、生えてきた腕をつぶさにチェックしていた。

「手をグーパーしてみてください。」

サクソウに言われるままに手を動かしたり肩を回したりしている。

「特に異常ない。最初から付いてたみたいだ。」

次第に冷静になっていくゴザの体は特に異常は無いようだ。

「何やったんだお前。」

ドインがレイに掴みかかる。

「俺は、ゴザに、回復魔法かけただけです。」

ドインに揺さぶられてレイは答えたが、かけた本人も分かっていない。

「サクソウ何か分かるか。」

「分かりません。何ですこれ。」

ロックは尋ねるが、サクソウにも分からないようだ。

 この場で分かる者は、とレイは辺りを見回す。

少し離れた所に、うるさいなとばかりにイカ耳になった猫2匹が肉を食べていた。

「タック、フクン、教えてくれ。」

 おじいちゃんの知識を受け継いだ猫2匹にレイはすがった。

「うにゃあ。回復かけたからにゃ。」

「回復かけると腕生えるのか。」

「上位の回復魔法は欠けた所治るにゃ。」

「そうなのか。」

「そんなの聞いたことないです。」

 ギルガ神聖国の学校で学んできたサクソウも知らないという。

「300年くらい前は、いたにゃりよ。」

「レベル100以上無いと出来ないの。」

 フクンが言うにはレベル100以上で初めて使えるようになるらしい。

どうやら魔族2体を倒したレイは、レベルが100を超えたようだ。

レベル10以上になるとレベルは上がりづらくなり、100になるには魔族を倒すくらいの強さでならなければならない。なる前に寿命が尽きる人がほとんどだ。

レベル100以上の回復魔法の使い手が、約300年ぶりに出てきたことになる。

「とりあえず今日は解散だ。寝ろ。寝ろ。」

 事態の収拾がつかないと判断したドインが、その場にいる全員に寝ろと指示を出す。

全員ゴザに起きた奇跡に興奮しながら、寝場所へと散っていった。

そして全く眠れないまま朝を迎えることとなった。

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