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復讐者  作者: 安慶
勇者と魔族とモフモフ
155/421

87.ドインvs魔族

「止まるな。走れ。」

ドインの鋭い声に我に返ったレイたちは、一目散に要塞を目指す。

レイの耳元でヒュッと空を切る音がしたかと思うと、キンという甲高い金属音がした。

音のする方を見ると、すぐ横でドインの槍が魔族の剣を抑えている。

「早く行け!」

立ち止まりそうになったレイに、ドインはどなった。

レイはトムたちと共に、要塞の中へと逃げ込む。

中は戦いで傷ついて倒れている者、息を切らせて座り込んでいる者でごった返していた。

「こちらに。エリアヒール。」

 サクソウに回復の範囲魔法をかけてもらい、全員の傷が治っていく。

だが何人かはピクリとも動かない。

「アレス、マールさんたちのところに行って。」

「クウン。」

これ以上アレスを戦わせることは無理だとレイは判断した。

アレスは尻尾を下げ、トボトボとマールたちのいる部屋へと向かっていく。

「レイ、ちょっと飲んで、食べとけ。」

 ロックがポーションと干し肉を渡してきた。

干し肉をかじりながらポーションを飲んで疲労を回復させていく。

「こりゃ、ほとんど使いもんになんねえな。レイとトム、ロックウッドの武器だけか。」

 スミスが人ごみの間を縫うように、ドインの部下と共に全員の武器をチェックしていく。

刃こぼれをしていたり折れている武器が多く、これ以上戦えるのはレイとトム、ロックウッドの面々だけのようだ。

「外はどうなってる?」

ドインと魔族の戦いがどうなっているのか、レイは監視窓から外の様子を伺った。

 キンッキンと甲高い金属音と共に、何かが高速で移動しているのが見える。

「全っ然分かんないっす。」

一緒に眺めていたトムがため息をつきながら言った。

「大分拮抗してるな。ドインのバカ力をいなすとは。」

同じく戦況を見つめていたロックが感心している。

ロックは厳しい戦いの中で相当レベルを上げたのだろう。

かろうじて戦いの様子が分かるようだ。

「お前ら、何があってもいいように準備しとけ。」

ドインの部下から戦闘の準備を整えておくように言われる。

 残った十数匹のオーガは、ドインたちの戦いに全くついていけず、巻き添えを食らって胸を貫かれたり、レシーアたち遠距離攻撃部隊の餌食になり数を減らしていた。

 何十分にも及ぶ戦いの中で、オーガやドラゴンの姿が全く見えなくなり、ドインと魔族の一騎打ちとなっている。

 相変わらず拮抗した戦いが繰り広げられている中、それらは急に現れたように見えた。

「うわっ。」

 ドインの姿が見えるようになったかと思うと、ドインの顔に鋭い切り傷が刻まれているのが分かった。

「3人…。」

絶望したようにロックが呟く。

魔族も攻撃を止め、ニヤリと笑いながら剣を携えて立っている。

 ドインと戦っていた魔族の隣には、同じく青黒い顔をした魔族が2人立っていた。

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