83.片腕のゴザ
「ゴザ!」
「そんな…。」
ミナは目に涙をためて叫び、レシーアは絶句し顔を覆っている。
「そんなに悲しまないでください。まだ命はあるんで。」
ゴザは弱々しく微笑んだ。
利き手である右腕を失ったゴザは、右肩にミスリルで作られたトゲをくくりつけ、左手に盾を持っている。
以前の彼は右手に盾を持ち、左手に剣を持って戦っていた。
重戦士として盾で敵の勢いを殺し、剣でトドメを刺していく。
時にはロックやミナを守り、後方のレシーアやサクソウに攻撃が届かないようにロックウッドの防御の要として活躍していた。
盾だけで戦えるのか、そんなレイの疑問を見透かしたようにゴザが説明を始める。
「ただの盾じゃないんですよ。これ。」
レイたちに見せるように盾を掲げる。
ゴザが魔力を流すと下の部分から鋭いトゲが瞬時に出てきた。
さらに魔力を込めると盾の前方から無数のトゲが出てくる。
「仕込み盾か。」
レイが思わず感心する。
防御だけではなく攻撃にも使える仕込み盾を、ゴザは使いこなしているようだ。
「すまない、皆。」
ロックがメンバーに頭を下げる。
咎人として追われていた時にはメンバーを逃がすことが出来ず、魔族との戦いではゴザにケガをさせてしまった。
リーダーとして責任を感じているのだろう。
「頭上げてロック。」
「そうよ。後悔は無いわ。」
ミナとレシーアが慰める。
その様子を見ながらレイは羨ましく思っていた。
自分もレシーアやミナと共に戦っていた。
連携も悪くなかったと思う。
だがロックウッドは連携以上に絆があった。
5人が揃えばどんな強敵も倒せるような空気があった。
自分は…とレイは辺りを見回す。
不意にトムと目が合った。
同じことを思っていたのか、トムが少し照れたように笑う。
手にモフっとした柔らかい感触があたり、見るとタックとフクンとアレスが団子になって寝ていた。
自分にも仲間がいる。
3匹は従魔だが懐いているし、トムだけではなくマールやスミスは自分に足りないところを補ってくれる。
レイはトムに目で合図をすると、ロックウッドの面々に視線を戻した。
レシーアとミナは何とか冷静を保っている。
サクソウはゴザの手をさすり、何か祈りの言葉を紡いでいた。
「再会を喜んでいるところ悪いがな。」
ドインが腕組みをしながら言った。
「前回の襲撃から大体2か月経ってる。準備しとけ。寝る場所は用意する。」
言いたいことをいうと、ドインは部屋から足早に去っていった。




