77.4人目の男
大臣は王を寝室に押し込むと、自分の執務室へと急いでいた。
色々なトラブルの後始末、金の支払い、仕事が山のように溜まっている。
そのほとんどが勇者がらみだ。
王族や貴族の女性に手を出そうとする。娼婦を呼ぶ。最近は性奴隷まで買ったらしい。
王侯貴族からは苦情が殺到し、騎士団は崩壊状態。浪費癖の勇者のせいで国家予算は火の車だ。
大臣は膨大な書類の前でため息をつくと、それに手をつけようとせずにつらつらと考え始めた。
あいつらが召喚されてから何もかも上手くいかない。
何とか死ぬように仕向けることは出来ないか。
あの3人好き放題しおって。
様々な思いが頭をめぐる中、ふと大臣は気になった。
確か4人召喚されたはず。
4人目の男はどうした。
もう野垂れ死んでいるだろう。
だが教会から死亡の知らせは届いていない。
考えているうちに頭から4人目の男が離れなくなった。
今どうしているのか。
他の3人と離れたところで無表情で立っていた男。
職業が分からなかった男。
確かステータスが低すぎて追い出したような。
4人目の男の行方が気になった大臣は、側にいた文官に調査するように指示を出した。




