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復讐者  作者: 安慶
勇者と魔族とモフモフ
138/421

70.攻略に向けて

 ペガルダンジョン最下層に潜り始めてから4日目の夜、

「待たせたな。」

意気揚々とスミスが武器を渡す。

「ありがとう。」

恭しくレイが受け取った。

漆黒の剣をかざすと、妖しげな光を放つ。

「凄いですな。ブラックドラゴンもこれで倒せます。」

レイと同じくアダマンタイト製のハルバードを受け取ったトムも満足そうだ。

スミスがレイの奴隷となった結果、アダマンタイトを加工できるようになり、装備を作るスピードも上がった。レイ・トムの武器とミナの短剣はアダマンタイト製になり、奴隷たちを含む全員の防具はドラゴンの皮製となった。レシーアやミナは軽いグリーンドラゴン製、レイやトムたち体力のある者は、レッドドラゴンとブルードラゴンの皮を合わせた鎧を身に着けている。

 装備に向かないアースドラゴンの皮をはじめ、攻略に関係ない素材は売りまくった。

そのおかげで近隣の町も含めて、状態異常を治す薬や防ぐアクセサリを買い占めることが出来た。ミスリル合金やポイズンフライの顎で作られた、非常に硬い矢も数百本用意している。

 カンタたちが調べた結果、ブラックドラゴンは状態異常のブレスを吐き、逆に状態異常の攻撃が無効になることが分かった。物理攻撃も魔法攻撃も効きづらいため、かなり厳しい戦いになる。

「さすがにブラックドラゴンは奴隷たちにゃ無理だ。だが他のドラゴンは俺たちで倒す。」

スミスは力を込めて拳を握った。

「頼む。」

レイは軽く拳をスミスの拳に突き合わせ、奴隷たちの方を振り返って言った。

「皆良いか。明日は新しい装備を試そうと思う。ペガルダンジョン最下層の攻略は明後日だ。全員生きて帰るぞ。」

『おう。』

勢いの良い声が返ってくる。

 新しい装備を試した翌日、レイたちはペガルダンジョン最下層の入口に降り立った。

今から攻略を開始する。

奴隷たちが矢をつがえ魔法の準備を始めた。

レイたちボス攻略組は、隊列の4列目で奴隷たちの戦いを見守る。

 攻撃が一斉に始まった。

魔法や矢の攻撃でドラゴンの高度を下げ、近接攻撃で仕留めていく。

ミスリル合金の武器が使えなくなると魔法袋から予備の武器を取り出し、繰り返しドラゴンに攻撃を加えていた。

 2階層へと続く通路に退避してしまうと、せっかく倒したドラゴンがリスポーンしてしまう。その入り口を背にして、奴隷たちは武器を替えながらドラゴンを仕留めていった。

5時間ほど倒し続けただろうか。ドラゴンたちの気配が消えた。

ブラックドラゴン以外全て倒し切ったと判断したレイは、前進を開始する。

奴隷たちが素材や魔石を拾う中、中央に鎮座するラスボスに向かっていく。

 巨大な黒い塊のようなブラックドラゴンは周囲のドラゴンが全て倒されると、ゆっくりかま首をもたげ、レイたちを静かに見つめていた。

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