69.アレス
「今日もペガルダンジョン最下層に潜る。」
レイが奴隷たちに伝える。
「アレスも戦っていいからな。」
「ガウ。」
アレスが尻尾を振って応える。
レイたちはドラゴン狩りを続けていた。
戦いが安定しているため、アレスも参加することになった。
ペガルダンジョン最下層に行き、今日もドラゴン狩りを始める。
レイたちがブルードラゴンを対峙している中、アースドラゴンが草むらから前進してくる。
トムが止めようとハルバードを構えた瞬間、自分も戦いに参加するとばかりにアレスが前線に躍り出た。
一気に跳躍するとアースドラゴンの首元に噛みつき、頭を胴体から引きはがした。
「うおっ。」
レイが絶句する。
さすが伝説の魔獣フェンリルだ。
産まれてすぐにハイオークを倒し、生後1か月でドラゴンを一撃で倒している。
「装備が揃ったら挑戦できるんじゃないですかね。」
隣でトムも感心している。
ペガルダンジョン攻略の肝は、最下層ボスまでにいかに魔力と体力を温存できるかだ。
最下層に挑むと50匹ほどのドラゴンに一斉に襲われる。
最下層のボス部屋はそれまでとは異なり外からも襲われるような構造のため、周囲のドラゴンを全て倒さないとボスの所に行けない。
ペガルダンジョンが最難易度ダンジョンといわれる所以である。
だが、アレスがいれば奴隷たちの助けを借りて、レイたちが無傷でブラックドラゴンの所まで行くことが出来るかもしれない。最初はポイズンフライを倒すのがやっとの奴隷たちも、装備が一新されレベルが上がったおかげで、ドラゴンにダメージを与えられるようになってきた。
「良い方向に作戦を立てられそうだ。」
明るい顔でレイが言う。
「そうね。武器が出来るまではドラゴン倒してレベルを上げましょ。」
レシーアも笑顔だ。
ペガルダンジョンを出ると、ミナとジャミは別行動で一目散にどこかへと向かった。
サクソウが心配だとミナが訴えるため、様子を見に行くことにレイがOKを出したのだ。
サクソウの状態によっては、攻略の日程を早めるかもしれない。
ドラゴンを狩り続けた結果、レイとトムのレベルは80を超え、レシーアとミナに至ってはレベル99になった。




