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復讐者  作者: 安慶
勇者と魔族とモフモフ
134/421

66.宝箱

 「こりゃ良いな。」

6匹分のドラゴンの皮を前にしてスミスは満足そうだ。

「だがアースドラゴンの皮はなあ。重いから鎧には出来んな。」

「そうか。」

5匹分の皮から装備を作るという。

「全員分揃えるにも急いで10日位かかりそうだ。大丈夫か。」

「頼む。」

 サクソウのことを考えると急ぎたいが仕方がない。

最下層ボスはブラックドラゴンだ。今の装備で戦ってもひとたまりもない。

はやる気持ちを抑えながら、次の日もペガルダンジョン最下層へと向かう。

「刃こぼれがまたヒドくなりますな。どうしますか。」

トムが持っているハルバードを見ながら言った。

スミスに毎日メンテナンスしてもらっているが、最下層でドラゴン6体倒したら、使い物にならないくらい刃こぼれした。レイの剣に至ってはヒビが入っていたくらいだ。

さすがにレイも肝を冷やして、予備の剣を魔法袋にしまっている。

レイとトムの武器は、ミスリルに混ぜ物をしたミスリル合金製だ。ドラゴンは何度か攻撃すれば倒せるが、上位種のブラックドラゴンに攻撃が通じるかは分からない。

「もっと良い素材が欲しいな。」

「そうっすね。シニフォダンジョン潜ります?」

「全員分防具の素材を集めたらそれもアリだな。」

ペガルダンジョン最下層のドラゴンからは皮と魔石しか取れない。

武器用の素材を取るために、シニフォダンジョンの下層に潜ろうかと思っている。

レイたち一行は転移魔方陣を通り、昨日と同じように最下層でドラゴン狩りを始めようとした。

「ん?」

「ん?」

 またジャミが変な声を出した。レイは何事かとジャミの方を振り向く。

「どうした。」

「師匠、あれ。」

ジャミの指さす方向をレイとミナが凝視した。ミナは顔を輝かせて嬉しそうに叫んだ。

「でかした!」

 レイには草原が続いているようにしか見えないが、斥候の能力を持つ2人は何かに気が付いたのだろう。

「宝箱あるよ。」

「草原にか。」

「そう。ここから20メートル位だね。行く?」

「まずドラゴン狩りからだな。」

 レイは武器を構える。

昨日と同じようにレイたちを認識した複数のドラゴンが、空から地上から襲い掛かってきた。

連携しながら1匹ずつ倒していく。

「ミナ!宝箱は諦めろ。」

「そんなあ。」

 ミナは残念そうだが、レイたちは目の前のドラゴンを倒すのに精一杯だ。

レッドドラゴンとブルードラゴン1匹ずつ、アースドラゴン2匹と戦い、魔力も武器も限界が来ている。

少しずつ後退し、安全な入口の所まで退避した。

「無理だよねえ。やっぱ。」

ミナは宝箱を開けられなかったことを悔やんでいる。

「死んだら元も子もないからな。次頑張ろう。」

レイも宝箱の中身が気になったが、安全を優先させた。

もっと近くにあった時に取ればいいと自分を無理やり納得させる。

「ん?」

 お宝大好きなジャミが大人しいなとレイが振り向くと、ジャミの頬が緩んでいるのが一瞬見えた。

「…ジャミ、出せ。」

 逃げようとしたジャミの足にレイがしがみつく。

態勢を崩したジャミを、またもやミナがヘッドロックをかけた。

「ぼお、どおじで。」

 ジタバタするジャミの魔法袋にレシーアが素早く手を突っ込むと、「これね。」と言いながら黒い塊を引き抜いた。

「何だこれ。」

 レイたちが不思議そうにのぞき込む中、黒い塊は怪しく光っていた。

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