58.合流
ジャミが大の字になってのびている。アレスが生まれてから2週間後、レイたちはローミの町にたどり着き、トムたちと合流した。
ローミ領に入っていからほぼ休みなく走っていたため、拠点となる建物に着いたとたんジャミが倒れこんだ。
「何で俺がこんな目に。」
天井を眺めながらブツブツ恨み言を言っている。
「久しぶりだな、皆。」
ジャミを一切無視してレイは笑顔で言った。
「そうっすね、元気そうで良かった。アレス初めまして~。」
久々のモフモフを堪能しながらトムが答える。
「で、交渉は上手くいった?」
「バッチリだよ。安心してダンジョンに入りな。」
レイが持ってきた酒を旨そうに飲みながらマールが言う。
「じゃ着いて早々だが、話し合うか。」
レイの言葉が合図だったように食事が運ばれてくる。
建物の中心で車座になり、皆で食事をとり始めた。
外で聞き耳をたてているローミの部下を気にしながら、レイは話し始めた。
「外の奴邪魔だな。」
「ダンジョンに慣らしで潜ってからずっと張り付いてますよ。うっとおしい。」
トムが嫌そうに言った。
「まあ、奴隷たちが必要以上に騒いでくれてるから、普通の声でしゃべっても聞かれることは無いっすよ。」
レイたちの周りには100人ほどの奴隷たちがいて、外に向かって他愛のないことを話している。
タック派かフクン派か。アレス様可愛い。明日の献立どうする等。
新たなモフモフが加わったからか、奴隷たちのテンションも高い。
盗聴のスキル持ちが外でウンザリしながら聞いているだろうと思い、レイはにやりと笑った。
「そうか、念のため小声で話すがな。」
事前に聞いていた情報と、実際に慣らしで潜って得た情報を基に、攻略方法を考える。
「でメンバーはどうすんですか。」
お代わりの芋を食べながらトムはレイに尋ねた。
「ドラゴンのいる最下層に進むのは俺とトム、レシーア、ミナ、タック、フクンが良いだろ。」
「アレスは連れて行かないんですか。」
「既にハイオークを一撃で倒せるがな。アレスには留守番を頼む。マールさんが心細いだろうからな。」
「いいってのに。」
マールはいいと言うが、レイは警戒してのことだと話を続けた。
「外に張り付いてる奴も含めて、ローミたちが何をしてくるか分からんからな。チルにも気を付けるように言ってある。」
レイが新たに頑丈な建物に作り直すが、出入り口がある以上襲われる危険性を考えなければならない。
ローミたちが何かをしなくても、血の気が多い冒険者たちの町だ。どんなトラブルが起こるか分からない。
既に3つ目の芋に手を伸ばすトムが言った。
「じゃあ4人と2匹で最下層に行くんですね。」
「そうだ…あっ忘れてた。」
レイが急に大きな声を出した。
皆が注目する中レイは、
「ジャミも一緒だ。」
「何で俺なんだよー。嫌だよー。」
食事が運ばれてきた途端大の字から起き上がって、タックたちと一緒に肉をムシャムシャ食べていたジャミが叫ぶ。
「斥候がいなけりゃ罠にかかるだろ。」
「師匠がいるじゃん。」
「お前の師匠は前衛で戦うからな。罠索敵頼む。」
「うわーーーー、嫌だーーーー。」
「明日から潜るぞ。」
「ウキャーーーー。」
ジャミは再び大の字になってジタバタしていた。




