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復讐者  作者: 安慶
勇者と魔族とモフモフ
109/421

41.ワイバーン

 翌日マールはライバと共にサクソウ奪還の細かい作戦を立てるため、屋敷に籠っていた。

スミスは戦える奴隷たちを連れて、南西、つまり迷いの森の反対方向でオークなどの魔物を狩るという。

戦えない奴隷たちは、それぞれ魔法陣や薬草について離れで勉強をするそうだ。カンタが面倒を見るという。

昨夜のライバとの話し合いでやるべきことが出来たレイ・トム・レシーア・ミナは、タックとフクンと共に迷いの森の入口に来ていた。

何故かジャミもミナに引きずられて連れてこられている。

「ヤダよう。怖いよう。」

「生き残りたければ黙って。騒いだら魔物から襲われやすくなるよ。」

ミナに脅され、ジャミは急に大人しくなる。

「さて。それでは。」

トムが気合を入れるようにハルバードを担ぎなおす。

「行きますか。」

トムに応えるようにレイも剣を引き抜いた。

5人と2匹は迷いの森に足を踏み入れていく。

 レイはライバとの話し合いを思い出していた。ライバの予想通りなら4人と2匹の強さがサクソウ奪還のカギとなる。出発まで1週間しかないが、出来る限りレベルを上げたい。

「レイは魔法を使わないようにね。」

レシーアから今回の課題が出る。余程のピンチにならない限り、レイは剣のみで魔物を倒すことになる。

「で、ワイバーンはどこにいるんだ。」

「あの山のふもとね。出来ればはぐれた奴を1匹ずつ倒したいわね。」

レシーアは遠くに見える赤い岩山を指さす。

 他の魔物に遭遇せずに近づきたかったが上手くいかず、時々オーガやポイズンスパイダーと戦いながら赤い山を目指して一行は進んでいた。

「キアァ。」

突然甲高い金属音が上から聞こえてきた。見上げると巨大な黒いトカゲのような魔物が空を飛んでいる。羽を広げるとオーガよりも大きい。

「アレがワイバーンか。」

「そう。ジャミ投げて。」

「ふああ。どうにでもなれ!」

ヤケクソになったジャミが魔法袋から塊肉を取り出し、空に向かって投げた。

ワイバーンは肉めがけて凄まじい勢いで滑空している。

「来るわよ。」

「よし来い!」

全員武器を構えてワイバーンを見つめる。ワイバーンは肉の先に旨そうな人間がいることが分かると、目標をレイたちに変えて飛行速度を上げてきた。

「はい。よいしょー――。」

 トムのハルバードがワイバーンの口ばしと交差する。

キンという高い金属音がして、ワイバーンの口ばしを受け止めたトムが後ろに押されていった。攻撃が止められたことが分かると、今度は羽ばたきながら体制を変えて鋭い爪で蹴り上げようとする。

「はっ。」

トムと共にレイが剣で爪を受け止める。ワイバーンは少し体を斜めにして、尾の毒針でレイを刺そうとした。

「うりゃ。」

ミナが器用にムチを振るい、尾の動きを封じる。

体勢を崩した隙を見逃さず、レイがワイバーンの懐に飛び込んだ。

胸のあたりを下から突き上げるように剣を突き刺す。

「キーーーアァ。」

金切声のような鳴き声を上げてワイバーンがのけぞった。

トムはワイバーンの右側に素早く移動すると跳躍して首を切り落とす。

ズンという重い音とともに、切り離されたワイバーンの首が地面に転がり落ちた。

「ふう。」

「何とか一体倒せたな。」

 レイとトムにタックとフクンを抱っこしたレシーアが近づく。

「そうね。今日から1週間、日が昇ってから昼過ぎまでワイバーン狩るわよ。」

「嘘だろ。俺は。」

「ジャミ、諦めて。あんたも毎日ワイバーン狩りよ。」

「嘘だろーーー。」

 ジャミの悲鳴が迷いの森にコダマした。魔物たちがジャミの所に集まってきたのは言うまでもない。

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