36.後始末
レイは薄暗い部屋の中で目が覚めた。お腹の上でタックとフクンが寝ている。
2匹を撫ででいると部屋にトムが入ってきた。
「あっ。目、覚めましたか。良かった。飯持ってきます。」
相変わらず飯優先のトムが部屋の外で何か叫んでいる。
「ふんにゃあ。」
「トムうるさいにゃあ。」
タックとフクンも起きたようだ。
「あれからどうなった。大丈夫なのか。」
戻ってきたトムが答える。
「大丈夫っすよ。ケガ人は出たけど死人0です。丸1日寝てたんですよ。」
「そうか。レシーアは。」
「まだ起きてません。疲れたんですね。」
トムがカーテンを開けた。外に町の景色が広がる。透き通るような青い空が眩しい。
「そうか。」
レイはゆっくりと上体を起こした。
奴隷がご飯を持って入ってくる。
少しずつご飯を口に運ぶ。タックとフクンも肉にかぶりついていた。
「今、警戒しながらオーガの素材を取ってるところです。」
「魔石以外にもあるのか。」
「皮と骨と歯も使えるそうです。骨と歯は矢じりに、皮は鎧に。」
「うん。」
「ライバさんが起きたら来てくださいって。褒賞もらえますよ。」
「分かった。」
食事が終わると、そろそろと支度をする。まだタックとフクンとゴロゴロしていたかったが、ライバから呼ばれているのなら仕方ない。
部屋の外に出ると、丁度斜め向かいの部屋からレシーアとミナが出てくるところだった。
「もう体調は大丈夫なのか。」
「ええ。今起きたところ。あなたは。」
「俺も今起きたところだ。」
「魔力切れなんて久しぶり。オーク戦以来ね。」
「そうだな。俺も。」
トムが3人をライバの所に行くように促す。
「さ。スミスさんと一緒に行きますか。」
「ああ。」
途中でスミスと合流しライバの屋敷へと向かう。親切にも屋敷の離れをレイたちに貸してくれたようだ。
ライバの屋敷は執務室を兼ねているようで、町の中心に大きくそびえ立っていた。
見張りをしていた兵士に案内され、屋敷の中に入っていく。
「レイ様・スミス様がいらっしゃいました。」
兵士がライバに報告する。
「ご苦労。下がってください。」
「はっ。」
案内してくれた兵士が、他の兵士たちが並んでいるところまで下がった。
「さて。」
レイたちに背を向けていたライバがニコニコとしながら振り返った。
「では、レシーア・ミナを捕まえなさい。」
「はっ。」
レイたちが止める間もなく、レシーアとミナが兵士たちに拘束されてしまった。




