35.キングオーガ戦
キングオーガが防壁に近づいてくるのを見ながら、レイ・レシーア・ライバが魔法発動の準備をする。
ハイオーガの突撃で防壁全体が揺れている中、3人は集中していた。
レイとレシーアは無詠唱魔法を唱えることはできるが、最大火力の魔法を放つために杖に魔力を込めていく。
「準備は良いですか?」
ライバが2人に声をかける。
『はい。』
レイとレシーアは目を開けた。
姿勢を低くしながら前に進む。キングオーガが見える位置まで来るとライバが叫んだ。
「今です!」
一斉に火魔法がキングオーガめがけて放たれる。3人の高火力の火魔法がキングオーガを襲った。
「援護を。」
その号令と共に火魔法と風魔法がさらに後ろからキングオーガめがけて撃たれた。
Bランク冒険者を中心とした魔法使いが加勢したのだ。
さらに勢いを増した魔法がキングオーガに直撃した。
「ギャアァァァァァ。」
絶叫と共にキングオーガが倒れる。
しかしライバは手を緩めない。
「レイさん。」
「はい。トルネード。」
レイがキングオーガに放たれていた火魔法に向けて風魔法を撃つ。
火魔法は勢いそのままに方向を変え、防壁に繰り返し激突しているハイオーガに襲い掛かった。
背面から焼き尽くすように広がった火で逃げ場がない。
ハイオーガは絶叫しながら防壁に押し付けられるように焼き尽くされた。
レイたちが立つ歩廊にも熱が伝わってくる。あまりの高熱に靴底が焼けそうになる。
凄まじい悪臭が煙と共に立ち上り、やがて防壁の振動が収まるとライバが言った。
「魔法止めてください。」
魔法使いが放っていた魔法を止める。何人か魔力切れでその場に倒れこんだ。
ライバは防壁外の様子をしばらく伺っていたが、満足そうに息を吐くと高らかに宣言した。
「勝ちました!全部倒しましたよ!」
その宣言を聞いた冒険者たちは歓喜の声を上げた。
「良かった…。」
「そう…ね。」
レイとレシーアは呟くとその場に倒れこんだ。




