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天邪鬼なダンジョンマスター ~うちって人類に貢献してるらしい~  作者: NotWay


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16/19

16話

 そういえば僕の名前が決まってないので魔王と呼ばれていたことを忘れていた。それと姫様と勇者とのご飯も。最近は作り置きが多かったので寂しがっていたのかもしれない。子供か。

 ほら見てほしい。魔王という言葉を聞いて村人たちは固まってしまったではないか。こいつが黒幕なんじゃないかって疑いの眼差しを向け始めていたところでこの勇者と魔王発言ですよ。

 いやまだだ。この勇者が本物の勇者だとバレなければなんか勇者っぽいコスプレしてる人と、ごっこ遊びのために魔王と呼ばれているだけの人に慣れる。勇者が化け物になるけどそうすれば挽回が可能……!

 

「あら勇者様。そんな呼びつけないで。(わたくし)から行きますわよ」

「姫様……そのようにご足労をせずとも私が魔王を運びましたのに」


 ああもうダメだ。姫様が来てしまったせいで村人たちが「おいおいなんか見たことあるというか普通に王族の方じゃねぇかあれ」ってなってる。というか勇者も普通に凱旋パレードとかしてるんだっけ。じゃあだめだよ。誤魔化せないよ。


「それで魔王様。こちらの方々は?」

「えーっと、ご近所付き合いです」

「なるほど。こちらの方々をこの街に?快適ですが広さの割にお話しできる方が勇者様以外おらず寂しかったのですよね」

「そうだぞ魔王。我々が捕虜待遇だとしても誰もいない街というのは中々に精神へ来るものがある」


 ゴーストタウンっていうのは結構不安になる人が多いらしいね。僕は全然気にしないけどこれは前世からなのかダンジョンマスターとしてのあれそれなのかはわからない。

 

「まぁこの人たちが住んでくれるかどうかはこの人たち次第だけど……ああ、置いてけぼりにしちゃってごめんね」


 外していた視線を向けるが、ルーカスさんが若者2人の頭を抑えつけており、若者2人も抗おうとせず必死に頭を下げたまま黙っていた。どうしたのだろうか。時折怯えたようにプルプルと震えている。


「私もあなた達と同じ立場、あまり畏まらないでもいいのですよ」

「へ、へへぇ……」

 

 ああ、姫様に対して怯えていたのか。気持ちはわかる。僕も怖いからね。いくら何でも中世ファンタジー世界の王族が気楽に接していいよ!と言ってもはいそうですかなんて言えるわけないだろう。姫様なんか圧あるし、勇者が後ろで睨みきかせてるし。

 

「ここに住んでくれると私たちも嬉しいわ。少々退屈でしたから」

「は、はい!」


 姫様。それは脅しというんです。首振り人形のように頷くことしかできなくなった村人たちを他所に姫様たちはにこやかに去って行った。バカな、本当に僕に挨拶したかっただけとでもいうのか。……いや、勇者の知覚力を持ってすれば僕が村人を伴ってきていることを把握して、かつ姫様に伝えることができるのだろう。偶然を装って僕が何かしようとしてるのを見に来た、そして住民となる村人にしっかり影響力を与えたというわけか。やっぱり怖い人だ……。


「それで、魔王様?我々は一体ここで何をすれば……」


 だめだ。もう呼称が魔王様になってしまった。しかも住む住まないという話から住んで何をすればいいのかという話に論点が移っている。


「えーっと、うん。とりあえず実験に付き合って欲しいというか。普通に畑をやってほしいのと、あとなんかやりたい仕事があるならそれやってもらって構わないし、あー、でも商人……外に商品を売りに行く人も欲しいな」

「実験というからにはその、何か人を襲うような植物だったり、奴隷商人だったり」

「とりあえず一般的魔王像は置いといて。最初に話してた通り僕の事は領主みたいなもんだと思って。税が欲しい、仕事してもらう、OK?」


 本当は税もいらない。箱庭を作るまでが楽しくてそこに住んで貰う人の事を考えてなかったなんて言っても混乱するだけだ。

 

「とりあえず協力してもらう立場だから最初の内数年は税を取らないと思うよ。あと食料は安定するまで配給制かな」


 税制度もよくわからないからそこら辺は姫様に聞いてみるとして。食糧が難しい問題だ。この街が安定した街であるとするならば僕の力抜きで回ってくれた方が助かる、というか回らなければ街づくり失敗なのだ。


「て言っても、この辺は麦なんて中々育たない土でして」

「その辺は大丈夫。とりあえず畑予定地に案内しようか。……畑見せるなら村人みんな連れてった方がいい?」

「そ、そうしていただけると。あんまり時間が経つとあいつらも心配しそうで。でもいいんですかい?全員連れて行ってその、負担とか」

「あー、1回で運びきるのはエレベーターの幅的に厳しいかもだけど、まぁ大丈夫だよ」


 ダンジョンの魔力で動かすエレベーターは推進力というか目的地まで移動する、という法則を作り出しているので重量制限とかはほとんどなかったはず。もしかしたら重量で消費する魔力が跳ね上がる可能性もあるけど、それもまた学びだろう。消費する魔力が10から20になるくらいなら全く問題ない。




 ◇◆◇



 魔力量を観察しながら乗ってみたけど1人ごとに10上がる仕組みだった。村人50人くらい運んだから500かかった。ちょっと重いなこれ。往復で1000か~。重量で判定されるんだとしたら地下から何か物品を運ぶのにかなりの魔力を消費することになるしなぁ。


「えーではここから街の案内、というか仕事の紹介をしていきたいと思います。いくつか紹介するので興味がある仕事についてください。とはいえ定員もあるのでそこら辺は村の中で相談しておいて」

「あ、ああ……」

「なんだここ」「本当に俺たちの村の近くか?」「緑がいっぱいだ……空気も綺麗な気がする」

 

 まずは初めて訪れた村人たちの動揺を収めるところからだった。と言っても建築様式が違うだけなので正直街並みには適当に慣れてほしい。いつか水道局ら辺を商店街のように発展させていくことも考えているが……現状人口規模がそこまで大きくないので後回し。住民増やして商業区立てて商業区に売る物を工場で作って~とかまでやれるのかな?技術的には可能だけどそれをダンジョン内だけで回せるかという問題がある。そこら辺は王都とやらだったり貴族の街とやらを巻き込めば行けるかな。


「とりあえずここが畑区画。とりあえずで作っただけだからまだそんなに整備されてないけど」

「いんや!?俺たちの畑よりももう綺麗だぞ!?」

 

 最初に案内するのは等間隔な枠に土を敷いただけで特に何もしていない畑。深く掘ればダンジョンの岩肌に当たるので本当に何もしていないのだが十分であったらしい。それはよかった。


「道具とかは一応貸し出してるけど、最終的にはみんなに作って欲しいかな」

「作るったって素材はどうすんだべ」

「買ってもいいけど確かに自給自足できた方がいいか。ちょっと待ってね。……鉱石掘れるようにしておいたよ。あとで案内するね」

「しておいたよ!?」「鉱石が!?」「鉱山ができたってことか!?」「えらいこっちゃ……」


 鉱山夫をする人手があるかと言われれば現状難しいところだが、あるに越したことはない。ただ設置してから思ったけど鉱石が掘れるエリアの設置は普通に高かった。魔力3万消費。掘れる鉱石は深く行けば行くほど良くなるらしい。良いの基準が僕にはよくわからないけどゲームっぽいシステムだ。


「畑の横が牧場……動物は買ってくるとして、餌ってどうしてたの?」

「普通は外放りだして草でも食わせるんだろうけど辺境からしたら人より牛の方が偉いからな。牛の餌を俺たちが作ってたぞ」

「あ~、まぁそうなるか。草生やしておくね」

「草生やす!?」

 

 wwwではない。普通の牧草だ。勝手にいっぱい生えてくるけど放置していると土を侵略していくのでそこら辺は上手く対策してほしい。極論ダンジョンは岩なのでそこまでは根付かないと思うが……根付かないよね?あとでリードに聞こう。村人たちは何を紹介しても驚いてくれるのでちょっと楽しくなってきた。ただなんか良くない優越感を刺激されている気がする。現代SNS的な。

 

「この辺が商店区画。が、できたらいいなぁというだけの空地。それで大きめの道で繋がってるここは居住区。みんなに住んで貰おうと思ってるところ」

「ここぁでっけぇ家でしっかりしてるけど何人で住む場所なんだ?」

「一世帯で一軒でいいんじゃない?任せるけど」


 彼らの住宅事情的に結構すし詰めになって寝てるのかもしれないけど部屋は広いのでその辺は好きにしてほしい。最低限の家具と寝具は置いてある。姫様お墨付きなので辺境の村からしたらそりゃもうとんでもない仕上がりなのであろうけど。あ、でも姫様たちが使ってる奴よりはちょっとグレードダウンしてるけどね。それでも良いやつなので十分だろう。

 

「任せるって、こんな家をか!?」

「土地余ってるからね」


 不動産王みたいな発言だが本当に余りまくってる。誰もいないのに居住区とか言って整備した奴とカオススライムが寝てる間に拡張した範囲と合わさって僕のダンジョンはもう結構な領土を占めている。とはいえ一都市としては大きくても一勢力としてはまだまだ小さい。

 恐る恐る村人たちがそれぞれ親戚や付き合いのある同士で家を見学していく。家具や寝具へ触れるたびに唸り声をあげて喜んでくれるので家を作った甲斐がありました。

 

「あー、魔王様。相談があるんだが」


 輪から離れた一人。狩人のルーカスさんだけが話しかけてきた。お、ぼっちか?

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