初夏の俳句(2024)
『“葭切”来 家出したのよ ギョギョシギョギョ』
『葭切』はウグイスに似た夏鳥で、葦原などで見かけることがあります。
鳴き声は、市場の仲買人のおじさんの潰れたような嗄れ声に似ていて、
『ギョギョシ ギョギョシ グケケケケケ ギョギョシ ギョギョシ』──と、かなりの騒々しさです。
小学生だったある日、近所の川原で幼い悲壮な覚悟に胸を震わせていた時、いきなりあの鳴き声が聞こえてきたのです。
葭切の声を聴いたのは、それが初めて。
思いがけずパンチのきいた力強い囀りにビックリして、涙も引っ込んでしまいました。
そういえば、鳴き声の『ギョギョシ』のイントネーション(?)は⤴️“シ”で高くなるのです。
それが『仰々しい(=大げさだ) 仰々しい』と囃し立てているようにも聞こえるなぁ──と最近また葭切の声を聴いて、そんなことを思いました。
5月、夏明けの一句。