冬の海水浴
今はまだ寒い、門戸厄神さんの季節だ。
桂子は言う「これでなんとか、1年の厄を取り払ってもらったね」
成夫「そうよ。さあ、どこか遊びに行こうか?」
桂「寒いし、どこか陽のあたりのいいところがいいなあ」
成夫「じゃあ、海かな?」
桂子「海なんて寒いやん。山の方がええで」
成夫「いや、山の方や」
桂子「じゃんけん、ぽん!」
成夫「勝ったー。海に行くぞ」
桂子K「どこの海行くのん?」
成夫「須磨がいいな。水族館あるし」
桂子「ようし、でJRで行くのん?」
成夫「いやあ、阪神高速よ」
桂子「阪神高速なんて地震以来乗ってないよ」
成夫「あ、あの倒れたやつか?」
桂子「何か怖いわ」
こないだ、能登半島で地震があったから、二人は怖かった。
阪神間では小さな揺れだったが、長い揺れだったので何となく恐かったのだ。しかし、二人はそれにめげず、阪神高速を飛ばした。
桂子「最近のクルマ、車高が高いのが多いね。タクシーもそう云うのが多いよ」
成夫「そうだな。眺めがいいからだろうね」
桂「阪神高速走ってて何となく、斜めに走ってる気がするわ」
成「やっぱり、斜めに倒れ掛かってるのかな?」
桂「よしてよそんな、縁起でもない」
成「カーステかけようぜ」
桂「何を聴く?」
成「あいみょん」
桂「あいみょんの何?」
成「裸の心』か、『マリー・ゴールド』
桂「あいみょん、いいよね。なんで、おっさんとか爺さんはあれがわからないのかな?」
成「昔の曲がいいんだろ?」
桂「でも、あいみょんって昔っぽいじゃん。」
成「だよね」
阪神高速は六甲から風が吹くようだ。びゅんびゅんいってる。
桂「スピード結構出してるんじゃない?」
成「120kmぐらいかな?」
桂「あんた危ないで。スピード違反で捕まるよ」
成「そうだな、80kmぐらいに下げようか?」
桂「白バイとか走ってるんよ!これ、どの辺?」
成「三ノ宮のへんよ。第2神明で降りたら、須磨に出れるとおもうよ」
桂「あの辺、緑が多くて好きよ。」
成「そうよ、走っててストレスが少ないなあ」
第2神明から降りて、二人は、地道を走ってた。
桂「あ!」
成「ああ!」
桂「水族館閉鎖してる。終わりだ!」
成「がっかりだ。シャチの水しぶき浴びたかったのに」
桂「しかたないわね。どうする?」
成「クルマ停めて、海岸を歩こう」
須磨の海岸は東西の距離が長かった。
二人は手を繋いで歩いたが、
やはり寒いので、手袋をして歩いた。
こんなに寒い時に、海岸を歩いている連中って少ない。
年配の人が杖をついて歩いてる。
成「こんなに寒い時に海岸に来て後悔してるかい?」
桂「いや、水族館が閉鎖してたんだから仕方がないわ」
成「やっぱり海は夏がいいね」
桂「今度の夏は、キャンプをしてテントを張って、バーベキューでもしようか?」
成「いいね。青のりをだしにして、雑炊を食べることもできるよ」
桂「でも、須磨は無理だね。」
成「やっぱり、京丹後市がいいね」
桂「いいわ。鳴き砂だし、水は綺麗だし」
成「冬に、夏のスポーツの話っておかしいね。」
桂「私、こう見えてもスキーで滑れるのよ」
成「そうかい?六甲山スキー場とか行くの?」
桂「あんなの、滑り出したらすぐ終わりじゃん。やっぱり、
氷ノ山とかがいいな。」
成「山、面倒臭いな。日本海に蟹食べに行こう」
桂「やっぱり日本海?地震で大変なのに、遊びに行っていられないわよ!」
風があるが、海岸沿いを歩いてると本当に気持ちのいいものだ。
ふたりは本当にいい気分転換になった。
おわり