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9.懇親会

二人は国立魔術隊の新入隊員が参加する、懇親パーティの会場に到着した。

会場の近くで入り口を探していると、パーティに誘ってくれた同期のレオが店の前で待っており手招きをしていた。


「あ、二人とも、こっちこっち!」


レオが地下に続く階段を指さした。


リイナとフィオラが地下の階段を下ってドアを開くと、すでに三十人ほどは集まっているように見えた。参加費を受付で支払うと、すでにビュッフェが用意されていて皆自由に飲食していた。


「ケーキたくさんある~おいしそー」


フィオラが目をキラキラさせて料理に近づく。相変わらず花より団子である。

ステーキやハンバーグ、鳥の香草焼き、サンドイッチやパンプティング、シュークリームなど、色とりどりの料理がおいしそうに盛り付けてある。ドリンクも、店員がバーカウンタに待機しており、オーダーすると多種多様なアルコールやソフトドリンクを頂けるようだ。

二人は仕事終わりでお腹がすいていたので、ビュッフェに直行することにした。


リイナとフィオラがどのデザートを取るか頭を悩ませていると、近くにいる新入隊員たちの会話の内容が聞こえてくる。


「今年の新入隊員で六大属性持ちは二人もいるらしいよ?」


「あ、それ聞いた!一人は魔法警務部じゃなくて魔法情報部らしいよ。なんでだろうね」


六大属性というのは、魔術師の持つ魔法の内、「炎、水、氷、雷、風、土」の魔法をを指す。

魔術師は基本一人一種類の魔法を使えるのだが、この六大属性の魔法が使える魔術師は珍しい。六大属性の魔法は珍しく、かつ威力が強大であることや、実用性が高いことから重宝されやすい。しかし、六大魔法以外の魔法も色々あり、使い手の技量や使う場面によって六大属性を凌駕する力を出すこともあるため、リイナはあくまで六大属性の魔法は珍しいというだけで、ほかの魔法と大差がないと考えている。


フィオラが肘でリイナをつつく。目線で『リイナちゃんのこと話してるよ』と言いたそうだ。


リイナは六大属性の一つである、雷の魔法を使うことができるが、同期の新入隊員で他に六大魔法を使える隊員がいるということを知らなかった。


「あれ、あの子じゃない?銀髪の女の子」


男女数人が話しながらリイナのことを見ているようだ。リイナとフィオラが料理を取り終わると、それを見計らうように、彼らが近づいてきた。


「もしかして君、雷魔法の子?」


「そうです!リイナちゃんって言うの」


リイナが反応する前にフィオラが返事をする。返答を聞いてやっぱり、と盛り上がる。

雷の魔法についてあれこれと聞かれたのち、皆の出身地や出身校などのバックグラウンドの話をして会話に花が咲いた。


「そういえば、俺と同部屋のシャイロってやつも、六大属性持ちでさ。今日来てるはずなんだけど」


「あいつ、氷属性持ちだっけ?ちょっと探してこようか」


新入隊員でもう一人いるという六大属性持ちの隊員はシャイロという名前の男性らしい。シャイロを探しに一人がその場から離れた。


「シャイロは俺と同部屋なんだけど、六大属性持ちってことでなのか結構プライド高いやつでさ。みんな六大属性持ちはそうなのかと思ったけど、リイナちゃんはそんなことないからあいつの性格の問題だったんだな~」


シャイロは性格に難があるらしい。呼んできてもらっている中悪いが、あまり話したくなくなってきた。


「あ、でも悪いやつではないよ!」


同部屋の彼がフォローを入れたとき、先ほどの男性がもう一人を連れて戻ってきた。


「連れてきたぞ!こいつがさっき言ってたシャイロ」


青色の髪に切れ長の目をした仏頂面の男が立っている。


「初めまして」


皆それぞれ挨拶と簡単に名前を紹介し合う。


「シャイロだ。よろしく」


愛想がないのか、クールに挨拶をすると、リイナに対して値踏みするように下から上に何度か目線を動かした。


「君が雷属性持ちの子か。魔法警務部じゃなくて情報部に配属されたんだってね」


リイナは少しバカにされたような口調に感じた。リイナが魔法情報部に配属された負い目があるので

余計そう感じたのかもしれない。


「大したことなさそうだな。ま、よろしく」


そういうとすぐにシャイロは立ち去って行った。今の言動は確実にリイナを見下していた。


「何あいつ!!嫌な奴~。ペッペッ」


フィオラが憤慨した様子で、シャイロの後ろ姿に対して何度も唾を吐くジェスチャーをすると、笑いが起き、すこし張りつめていた空気が和んだ。


「あーごめんごめん、気位の高いやつではあるけど、いつもはあんなに失礼じゃないんだけど・・・」


同部屋の男が困ったように頭をかく。


「同じ六大属性持ちってことで、ライバル視されたのかもね?」


女の子がフォローを入れた。


「あいつには後で説教しておくから。悪いやつではないし、今度会っても仲良くしてやって?」


「やだよ~」


フィオラがすぐに抗議するが、その様子がコミカルなのでまた笑いが起きた。フィオラは本気でやっているが愛嬌があり場を和ませる天才だなとリイナは感じた。



***


寮にリイナとフィオラが戻ってきたのは夜遅くだった。

ベッドにフィオラがダイブした。リイナもソファに横になる。


「いや~今日も疲れたね」


あれから、パーティを通じていろんな人と話をし、ほかの女性隊員とも親しくなれたので、二人にとって非常に有意義な一日となった。


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