第58話 副会長、ブチギレる
なにやら不穏な雰囲気になっている時に、さっき副会長が一生懸命票の確約をしていた男性陣がガヤガヤと騒ぎだした。
『それならおれも桃香副会長とお風呂入りたい、桃香副会長! やっぱおれ投票はしないです! 桃香副会長が一緒に風呂に入ってくれるなら票入れます‼』
『おれもだー!』
『おれもおれも‼』
なんだこの現場は……カオスだ……
副会長の顔を何気なーく覗くと引きつりまくっていて痙攣を起こしているのでは、と考えるくらいやばいことになっていた。
初めて見た。こんな怒りが隠れていない副会長の顔。
これ、後でぶち切れるやつだ。
『桃香様~♪ 一緒にお風呂に入りましょ』
『俺にはキスを~』
何十人も男が鼻の下を伸ばしながら学園アイドルに迫る。
「わかったわ」
『『『おおお~』』』
「今からみんなの要求に返事をするから静かにして」
いつもの口調でたんたんと言ってのけると周りは返事を今か今かと何十人もの男が目を血走りながら待っている。
何を言うんだろう。さすがの百戦錬磨の副生徒会長だ。ここからみんなが票を入れたくなるような発言をするだろう?
「その前に誰が何を言ったのか分からないから、一人ずつ名前と何を要求するかこのカメラの前で言ってくれる?」
このあとは全員を二列に並ばして、副会長が指示した人から動画撮影をした。
全員分の欲望駄々洩れの要求を聴き終わると
「おまたせーみんな。私の返事をしっかりと聴いてね♡」
『『『はーい』』』
副会長はごみくずを見るような目で見下す。
「おまぇら、キメェーンだよ! 失せろ‼ 二度とわたしの前に現れるな‼」
振り返り、無言でこの場を去っていった。
そりゃー、怒り爆発させるよなー。
怒っている副会長を追いかけたとしても怒りを増幅させるかもしれないし、愚痴を聴かされるかもしれない。
なら、そっとしてあげた方がいいだろう。




