第56話 副会長、票集めに奔走す
あれー、どこにいるんだろう。
副会長の周りには男子たちがうじゃうじゃと集まっているから分かりやすいんだけどなー。
騒がしい所、騒がしい所はどこだー、といろんな場所を探し回った。
探しながら、廊下の窓からも外を見ていた。
すると、中庭で無駄に多くの男子たちがいた。
きっとあそこだ!
急いで階段を下りて、中庭に出ると——
お、副会長を発見。
——ピンク色のショートボブの子が立っていた。
だけど、副会長の所には行けなかった。
ていうのも、誰か背の高い男の生徒と何かを話していたからだ。
もちろん、数十メートル離れた場所には野郎どもがわんさかいた。
それにしても、聞こえないなー。
もう少し近づいて、背丈が高い草むらに隠れる。
「——いいかな?」
副会長の声が聞こえた。
「うーんと……」
「お願い、わたしに票を入れて、城ケ崎くん」
「う、うん、桃香様がそこまで言うなら、入れるよ」
「やったー、ありがとう、城ケ崎くん!」
「う、うん」
「じゃー、またねー♡」
票を入れる?
今度の選挙の話をしているのかな?
話が終わったようなので、草むらを出ようとすると、副会長は遠くに離れた外野がいる野郎一人に話しかけて、さっきいた場所に連れてきて話し始めた。
「今回、カップルあみだで6月に選挙をするの。内容はカップルあみだで別れたいか別れたくないか。別れたいのであれば賛成票に入れて欲しいのよ。もし、選挙で勝てば、今のカップルと別れられるわ」
「うーん、どうしようかなー」
「お願い、賛成票に入れて」
「桃香ちゃんが言うのであれば、頑張って賛成票に入れるよ」
「ありがとう♡」
と言って、その男とバイバイして、次の外野の一人をさっきみたいに話しかけて、つれて元いた場所に来た。
おお、票集めをしているのか。
さすがは、副会長。
こうもすんなりと、『票を入れるよ』なんて言わせるんだ。
このままいけば、賛成票を過半数とれるな。
簡単な選挙だな、これは。
まぁ、そもそも、別れてもいい、と選択肢を与える項目が反対率81%なのが異常なんだ。




