第53話 弱みとパフェ
しかし、ぼくが話し出す前に副会長はため息をついて呟く。
「はーぁ、そんな嘘を言われたら、わたしは悲しい……」
「悲しむなー! 本当の話だから!」
「みんな、さとしくんの話は信じないでね」
頭を頷かせる男子生徒たち。
くっそ~、せっかく気持ちよく話していたのに台無しになったじゃん。
「あ、そういえば~、わたしはすごい話を持っているんだ~」
と言って副会長は右人差し指を頬に当てて、何かを思い出したかのように話し続ける。
「さとしくんが初めてわたしにメールを送ってくれたものがあるんだけど~」
『え、さとしが初めて送ったメールってどんなメッセなの?』
外野の男子たちがひそひそと話していた。
ぼくが副会長に初めて送ったメールとは、カップルあみだで最初に成立した時にぼくがザーサイとして副会長をバカにした内容だ。
そんなのをあいつらにバレたらヤバいことになる。
特に、そこにいる壮馬にバレたら何をされるか……東京湾に沈められちゃう?
さっきの腹いせにあのメール内容を教えようとしているのか⁉
「ちょっとまった、副会長」
「どうしたの~、さとしくん?」
「先ほどの話はとても大げさに話していて、言った内容と事実が大きく違う点を見受けられました、すみません」
誠心誠意、頭を下げて謝る。
「そうだぞ~、言葉には気を付けるんだぞ~、わたしは傷ついたんだからね」
「すみません」
「謝られてもまだ傷ついてるんだけどな~」
「一生傷ついとれ……ではなくて、時間を置いたら心の傷は癒されるから、それまで我慢をお願いします」
「そんなことを言われたら、さとしくんがわたしに初めて送ったメールをみんなに見せてあげたくなっちゃうじゃない」
「ちょいまてーい! 副会長!」
副会長に向かって右手をピーンと伸ばしてストップのポーズをして全力で止めに入る。
「どうしたの、さとしくん?」
「ごめんなさい、ぼくが悪かったです」
「何が?」
「色々なことについて」
「ふ~ん」
「許してくれるでしょうか?」
「どうしようかな~、傷ついたしな~」
不敵な笑みを見せて、悩んでいるフリをする副会長。
っく、何をどうしろと言うんだ?
「何がお望みで?」
「パフェ食べたいなって」
なんで、ぼくがわざわざお金のかかることをしないといけないんだ。
パフェなんてそんな高いデザート買う余裕はありません!
「自分で買って食べたら?」
「壮馬くん、ちょっとこのメッセージみて~」
「(コクリ)」
「ごめんなさい、調子に乗り過ぎました。せめて、クレープで許してもらえませんか?」
「う~ん、許すって何のこと話か分からないけど、クレープならクリーム増し増しのピーチクレープを食べたいな」
クリーム増し増しにピーチって絶対高いじゃん!
パフェよりも高い可能性が……まだパフェの方がマシ……
「パフェイチゴ味でどうでしょう?」
「う~ん、買ってくれるんだね、ありがとう」
微妙な反応だったが、納得はしてくれたようだ。
「じゃー、わたしご飯も食べたから、そろそろ行くね?」
「うんだよ」
いつの間にか、食事を終えていて、弁当箱は袋にしまわれていた。
ええ、ご飯いつ食べ終わったの⁉
「まったね~、みんな~」
「また今度なんだよ」
「あ、さとしくんはイチゴパフェを忘れないようにね♡」
「うん……」




