第51話 副会長の襲来
「みんな~、やっほ~」
『桃香様だ‼』
『桃香様をここでも見れるなんて嬉しい‼』
「わたしも嬉しいよ~。それとね、時々はこの教室に来ると思うからよろしくね♪」
『『『やっほ~』』』
男どもは浮かれていた。
「ところで、さとしくんってどこの席なの?」
可愛らしく人を探すポーズをとって、辺り一面を見ていた。
『え、さとしの席はあそこですよ?』
ご飯を食べているぼくに一人のクラスメイトが不思議そうに指さす。
で、ぼくは副会長と目線が合った。
「あ、いた♪」
え、怖い。
ぼくに何をしようとしているのだ、この女は?
『桃香様、さとしに一体何のようで?』
「え? 一緒にご飯を食べるためにだよ? ——じゃん!」
片手に持っていた黄色い弁当の袋をみんなに見せる。
周りの男子生徒たちは困惑を隠しきれないようでざわざわしだした。
ええ? どうして、あんな動揺しているの?
ぼく、なにかしたのかな?
『桃香様、さとしが嫌いなのにご飯を一緒に食べるの?』
本人が聞こえているところでそんな話をするとは、さすがだな。
まぁ、ぼく自身は気にしてないからいいんだけどね。
「う~ん、どんな人でも仲良くするっていうのがわたしのモットーだからね、頑張って友達になろうと思って」
『桃香様、やっさしい~』
『さすがは我らが桃香様、人ができてるぜ』
「でもね、もしも、さとしくんがわたしに変なことをしてきたら、守ってね?」
上目づかいで、野郎どもをみたせいで活気づいた。
『もちろんだぜ‼』
『今からでも、ぶっ飛ばしてもいいくらいだ!』
ギロリと一斉に睨まれる。
「それは、さとしくんが可哀そうだからやめてあげて。でも、わたしが指示した時は焼肉なり、なんなりしてあげて」
『『『イエスマム‼』』』
おいおいおい、怖いことを言うんじゃないよ!
しかも、隣にいる壮馬でさえも返事をして、椅子に座りながらも副会長に敬礼ポーズをしているし。
わたしに逆らったら、焼肉にするわよ、とでも言いたいのかアイツは……
それから、副会長はトコトコとこちらの席にやってきた。
「やっほ~」
「やっほ~なんだよ」
「っよ」
「(コクリ)」
副会長が手を振って、一丸はそれに返して手を振り、ぼくは手をあげるだけ。もう一人はただただ頷くだけだ。
身長の低い、クリクリとした愛嬌のある一丸に副会長は挨拶をする。
「はじめましてだよね。わたしは桃香。よろしくね、いちくん」
「桃香ちんのことは知っているんだよ……え⁉ ぼくちんのこと知っていたんだね」
「副会長だから、当然知っているよ~」
「すごいんだよ。ぼくちんも副会長になれば、その記憶力が手に入るのかな?」
「なれるよ~。副会長になれれば、の話だけどね」
「ぼくちん、副会長に立候補しようと思うんだよ」
いやいや、その記憶力は本人の能力または努力の賜物だから副会長になったとしても記憶力は手に入れられないぞ。
副会長の前でこんな誉め言葉は使いたくないので、黙っておくけどな。
「ところで、わたしも一緒にご飯を食べてもいいよね?」
「もちろんなんだよ」
「(コクリ)」
まぁ、別に一緒に食べるのはいいけど、どうして急にご飯を共に食べようとしたのか気になるところではある。
とはいっても、少ししか気になりませんがね。
「そういえば、会長に挨拶をしようと思ったけど、どこにいるか分かる~?」
「分からない。最近は昼食の時はいないようだけど」
「そう……」
副会長は少しだけ顔を曇らせた。
ちなみに、いつもよりもこの教室が静かだったのは会長がこのクラスにいないからだ。
つゆちゃんももちろん、このクラスにはいない。
2人は一緒にどこかで昼食をとっている。
つゆちゃんは恥ずかしがり屋だから、会長と一緒にこの教室で昼食を食べるとたくさんの人に目立つから、それを嫌ったのだろう。
1年生の時は教室で食べていたのに、ね……
今頃、会長とつゆちゃんは一緒に人気の無い所でご飯を食べて……
うぅ、想像しただけど、胸が痛い……
つゆちゃん、会長の代わりにぼくが一緒にご飯を食べてもいいんですよ?




