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第5話:悪夢は副生徒会長

 ということで、ワクワクしてきたので鼻歌をしながらカップルあみだのサイトを開く。


 サイトを開くと、まず目に飛び込んできたのは——


 目を疑うほどに膨大な、まるで六法全書のような規約文の山だった。(※規約文が気になる人はあとがきを読んでください。)


「な、なんだこれ……?」


 単なるカップル決めサイトの規約にしては、あまりにも異常。


 もはや恋愛というより法廷バトルか何かが始まりそうな勢いだ。


 気が遠くなるような条項の数、語彙、そして謎の漢語表現。


 今からこれ全部熟読して、十分に理解して、納得までしろって? 無理でしょ。


 スマホの画面を数分間、スクロールし続ける指先が、もはや震えてくる。


 それでも何とか下の方までたどり着くと、ようやく次の文字列が目に飛び込んできた。


 カップルあみだの説明(簡潔版)


 一.応募者の中からあみだくじをして、二〇〇組のカップルが誕生。


 二.カップルが成立した後、当学校を卒業するまで付き合わなければならない。


 三.カップルは途中で変えることは認めない。


 四.当カップルの邪魔をしてはならない。


 五.月額制の五〇〇円


 六.初回登録者の男性は五〇〇〇円、女性は一〇〇〇円、一年おきに更新一〇〇〇円


 七.反則をしたらイエローカード一枚で五枚集まると退学


 ……などなど。注意事項もぎっしり。


 簡潔版も、えげつなくなげーな‼


 しかも最後に、どこかの映画の警告文みたいな一文が記されていた。


『以上の事項を破ると罰金または即刻退学です』


 ……お、おう。だいぶ厳しめの制度ですね。


 まぁ、ぼくには関係ないけどね?


 だって、ぼくは——


 つゆちゃんと付き合うんだから、破るわけないじゃん!


 ただ、お金はかかるのか……


 うん、それでも、つゆちゃんのためだと思えば安い投資だ!


 それよりも大事なことがある。


 応募の締め切り時間は何時だ?


 サイトの締め切り時間を見る。


『応募は午後六時までにして下さい』


 ……えっ?


 スマホの時間を見る。


 五時五五分。


「やっっば!!」


 もう、完全にギリギリじゃん!


 メールアドレスを登録してー、名前を書いてー、と!


『さとし』


 ちょっとまてよ。本名を使うのは、なんか恥ずかしいなー。


 ニックネームで書こうっと。


 何があるだろうか、時間がないから思いついたもので。


『ザーサイ』


 頭の中にバッチーン、と降ってきた。


 なんでザーサイ? わかんない! 考える時間なかった!


 とにかく、今は「スピード」が命!


『退学届のサインと署名を書いてください』


 オンライン上で、まさかの退学届けの署名を要求されるページが!


 え、マジかよ……


 一瞬サインせずにいようか悩んだが、つゆちゃんのことが脳裏にちらつく。


「……いや、今考えてる時間はない!」


 勢いだ! 勢いで乗り切れ!


 さっさとサインを済ます。


『男性の場合は五五〇〇円の入金をお願いします』


 インターネットバンクを通して入金をする。


 で、無事にぼくは応募を完了させ、しばらくすると、応募の結果がやってきた。


 ——応募結果


『当選、おめでとう』


 当然の結果だな。超絶運の良い男なんだから。


 さてさてー、お楽しみのぼくのカップル相手、マイ天使、つゆちゃんはー……


 ……スマホに表示されたその名前を見た瞬間、ぼくの顔から血の気がスーッと引いた。


『桃香&ザーサイ』


 いやいやいやいや、


 いやいやいやいやいやいや⁉⁉


 何かの間違い! 絶対に間違い!


 この桃香ってまさか……いや、まさかだよな⁉


 他にも桃香ってやつはいるだろ!?


 相手のプロフィール内容を確認した。


 こいつぼくの嫌いな副生徒会長じゃねーかぁぁぁあああああああ!!!!!


 よりによって何でこいつなんだよ!!!!


 学園で一番可愛いとかお姫様とか言われていても、ぼくにとってはどうでもいい存在だ!


 あんな奴と卒業までカップル? 冗談じゃない!!


 こんなカップリングは認めない!


 破棄だ、破棄‼ 今すぐに抹消だ!


 しかし、脳裏に浮かぶのは契約内容だ。


『カップルが成立した後、当学校を卒業するまで付き合わなければならない』


 破棄したら退学になってしまう……破棄できないじゃん。


 ぼくは失望するのであった。


 なんてこった……これから先、どうやって生きればいいというのだ……



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