第46話 一人でご飯を食べないと死んでしまう病
昼食の時間。
ぼくはカバンから弁当と箸を取り出して、机に置いたあと、手を合わせる。
「いただきます」
弁当箱を開けている途中。
「さとしちん、ここで食べても大丈夫なの?」
「え、うん。大丈夫だけど?」
何を心配しているのだろうか?
「ここで食べても、さとしちんは死なないかな?」
「死ぬか‼」
ぼくを一体何だと思っているんだ⁉
「え、でも、前にさとしちんが、一人でご飯を食べないと死んでしまう病にかかっているから、食べられないって」
「あ……」
確かに言った。
そう言ったのも隣にいるスポーツマンの肉体を持つ伊藤壮馬のせいだ。
1週間前。
いつものように一人でご飯を食べようと席に置いてある弁当箱を開けようとしたら、
「昼食一緒に食べたいんだよ」
と一丸がお願いしてきた。
おおー、高校生活で初めてご飯を食べる友人が‼
と感動していると、隣の席から嫌な視線を感じていた。
隣に顔を向けると、ぼくをずっと睨め付けている。
授業中の時もそうだ。
こんな感じに、プレッシャーをかけてくる。
早く、副会長としゃべらせろ、と言わんばかりにだ。
はぁ~、こんなところでご飯なんて食べられやしない。
別の場所で食べよう。
「あー、えーっと、別の場所で食べるから、それでもよかったら一緒に食べる?」
「うん、問題ないんだよ。一緒に食べるんだよ」
嬉しそうにニコニコしている姿を見ると、改めて思うのは身長も低いし、無垢な小学生みたいだな。
それで、ぼくたちが席を立つと、壮馬も席を立った。
うーん、ついてこないよね?
「さとしちん、どこで食べる?」
「うーん、中庭かなー」
と、教室を出て、中庭に向かって廊下を歩き、階段を下りる。
当然のように、後ろから壮馬もいた。
うーん、これはついてきているかも……
「あー、教室に戻ろう?」
「分かったんだよ」
引き返すため、階段を上ると、壮馬も続いて階段を上がった。
絶対についてきてるじゃん!
「あ、壮馬ちん」
今気づいたかのように話しかける。
え、今気づいたの?
「っよ、一丸」
「ぼくちんたち今からご飯を食べるところなんだけど、一緒に食べる?」
ご飯のお誘いをしやがった⁉
まてまてまて、何のために移動をしているのか分かっているのか?
そいつがいるところでご飯を食べたくないからだ!
奴が返事をする前になんとかしないと。
「うん、一緒に食べようぜ」
先に言われてしまった。
「あー、そうだった! ぼくは一人でご飯を食べないと死んでしまう病にかかっているんだった。だから、一緒にご飯は食べられないんだ、一丸……」
「えー、それなら仕方がないんだよ……」
お、とっさについた嘘を信じてくれた?
「本当に残念に思うよ。病気が治ったら一緒に食べようね」
「うんだよ。それじゃー、壮馬ちん、一緒に教室でご飯を食べるんだよ」
「……ああ」




