第44話 勘違いとウインクアピール
そんな感じで、主に副会長が一方的に喋り、僕が時々ツッコミを入れる形で数分が経過した。
副会長は用事があるからと、空き教室を出て行った。
その足音が遠ざかり、完全に聞こえなくなったのを確認してから、壮馬に思い切りツッコミを入れた。
「全然喋れてないじゃん‼」
「だってー、緊張してー」
「だってーじゃない! せっかく副会長と話せるようにしたのに!」
昨日までは恐ろしい奴だと思っていたのに、ただのヘタレ野郎かもしれない。
「でも、俺さ。ちゃんとアピールはしたんだぜ」
「アピールって?」
「俺のかっこ良さのアピールに決まってるだろ」
「そんなことしてたの?」
ぼくには全然分からなかった。
一体、いつそんなアピールをしていたんだろう?
「うん、頷きながらだが、ばっちりウインクをしたぜ」
「……バカなの?」
え、昨日までぼくを脅かした人物とは思えないほどバカな発言をしていた。
ただ、そのおかげで親近感が湧いてきた。
「バカって言う方がバカなんですー」
「いやいや、頷きながらのウインクって『どうしたんだろう、片目を瞑って』くらいにしか思わないよ。それか、まったく気づかないとか」
「そんなことはない」
「さっきの副会長を見た? 何も反応していなかったよ?」
「……そう言うときもあると思う。実は、心の中ではズッキューンってなってるかもしれないぞ?」
「妄想。それは、ただの勘違い妄想」
「妄想ではない」
「それじゃー、壮馬が『副会長は心の中で俺にズッキューンしてた』って言おうか?」
「言うなよ。次に桃香ちゃんと会ったら、気まずいだろ」
「そりゃー、気まずいよね。勘違い妄想してたってバレたら」
「『わたしの心を見抜かれた♡ どうしよう、壮馬くんと話すの恥ずかしい』ってなって、桃香ちゃんが喋りづらくなるだろ!」
「ならんわー! どこからその発想が生まれたの⁉」
「自然の摂理に従ったら、当然の発想だぜ」
「その自然、濁りきって歪んでると思う」




