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第41話 空っぽの教室と東京湾の影

「おはよう、さとし」


 声をかけてきたのは、壮馬だった。


 いつもより、少しだけニコニコしている気がする。


「おはよう、壮馬」


「それにしても楽しみだ。ようやく桃香ちゃんと会話ができる」


「それは良かった」


「ほんとありがとな、さとし」


「どういたしまして」


 ……別に、壮馬のために頑張ったわけじゃないけどな。


 おまえに東京湾に沈められないために頑張っただけだからな。


「昨日は、さとしの連絡を受け取る前まで、ずっとどのようにして東京湾にさとしを連れていくか計画を練っていたからな。でも、桃香ちゃんと話せるってなって東京湾のことなんてきれいさっぱり頭から消え失せたぜ」


「……連絡ができて、本当に良かったと心から思うよ」


 黒板の上にある時計を壮馬は見る。


「もうそろそろ時間だ」


「あ、うん」


「空き教室のカギは開いてるのか?」


「うーん、たぶんね。副会長が開けてくれてると思う」


「そうか。なら空き教室に行こうぜ」


「うん」


 壮馬に促され、ぼくたちは同じ階にある待ち合わせの空き教室へと向かった。


 ドアの前に到着。スライド式のドアに手をかける。


『ガラガラガラガラ』


 お、開いてる。


 ていうことは、副会長は先に来ているよね?


 シーン、と静かな空き教室。朝の光が差し込んでいる。


「え、誰もいないじゃん⁉」


「桃香ちゃんいないの⁉」


 ぼくに続いて空き教室に入いってきた壮馬も、予想外の状況に驚いた。


 なんでいないの、副会長?


「トイレでも行っているのかな?」


「そうかもな。俺たちは桃香ちゃんが来るまで待ってようぜ」


「そうだね」


 中央にある机に座ってぼくたちは待った。


「もしも、桃香ちゃんが来なかったら、分かってるよな、さとし?」


「あ、うん、もちろん……」


 副会長、来てくれよな。おまえが来ないと、ぼくは東京湾に沈められるんだからな。



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