第40話 早朝登校と紳士な陰キャの憂鬱
翌日の朝、ぼくは、副会長との約束、そして壮馬との「東京湾回避」という重大ミッションのために、普段よりずいぶん早く家を出た。
いつもの登校時間とは違い、恋愛高校へ向かう生徒の数はまばらだ。
高校付近では、朝練に励む運動部らしき生徒たちの声が響いていた。
やはり、生徒は少ないな、と考えながら自分の席で壮馬を待つ。
実は昨日、壮馬から『一旦、クラスで集合して、一緒に副会長との待ち合わせ場所に行って欲しい』とLIMEが来ていた。
だから、ぼくは今、自分のクラスで壮馬を待っているわけだ。
クラスには、ぼくの他に数名、早く来ている生徒がいた。
こんなに早くに来て、何をしているんだろう?
学校に早くに来て、楽しいことってある?
全人類の方に問いたい。
学校に早くに来たいか、それとも、ギリギリに来たいか。
ぼく自身の答えは、断固として「ギリギリに来たい」だ。
なぜなら、学校にいても、別に楽しくないからだ!
紳士ではあるけど、陰キャでぼっちだから、学校に早くに来ても喋る人がいない。
教室にいるだけで『なんか、すみません』って、たまにある。
みんながワイワイ話してる真ん中で、一人ポツンと椅子に座ってる。そんな状況で、誰が好き好んで学校に早く来たいと思うだろうか?
まぁ、2年生になって、古賀一丸という奇妙な友人ができたから、1年生の時のような完全な「ぼっち」の気まずさというものは無くなった、気がする。
あれ? じゃあぼくって、いま学校で「ぼっち」じゃなくね?
ただの紳士な陰キャじゃね?
紳士な陰キャではあったとしても、できる限り家で、できる限り布団の中で、のんびりと過ごしてから学校に行きたい。
だって、インターネット使い放題で、好きな時に好きなことができる家と、朝早くから行かなきゃいけない学校を比べたら、どう考えても家の方が天国だよね。
……何度も確認するけど、ぼくってぼっちじゃないよね?
紳士な陰キャって名乗っていいよね?
いいのかな……?
色々、どうでもいいようなことを考えていると、ズズズ……と椅子を引きずる音がして、隣の席に誰かが座った




