表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/65

第31話 恐怖の防犯ブザーと母の教え

 でも、めげない!


 気を取り直して、他の人に——お、あの子なら!


「ちょっといいかな?」


 7歳くらいの男の子に話しかけてみた。


 無垢そうな瞳だ。


「なに~?」


「お兄ちゃん、今、困ってて助けて欲しいんだ」


「どうしたの~?」


「この自転車を人の邪魔にならないところで、ずっと持っていて欲しいんだ」


「うん~、いいよ~」


「おお、ありがとう‼」


「どういたしまして~」


「君にはお礼にこれをあげよう」


 感謝の気持ちを込めて、自分のエナメルバックから飴玉を一つ取り出す。


「はい、これ飴玉。お兄ちゃんからのプレゼント」


 少年は目にも留まらぬ早さでポケットに手を入れ、小さな何かを手に取り——


『ビビビビビビビビビビビー‼』


 とんでもなく大きな音が辺り一面に響き渡る。


 それに、反応して周りの方々が何事かとこちらに目をやる。


 いや、これ、防犯ブザーじゃん‼


 え、何しちゃってんの、この子⁉


「ストープ! ストープ! ストープ!」


「うん~」


 ぼくの慌てっぷりをよそに、のんびりとした声で答えてから、ブザーを止めた。


 周りの人は少し動揺したものの、また何事もなかったかのように歩き始めた。


「いきなり、防犯ブザー鳴らしてどうしたの⁉」


「お母さんに飴玉を渡す人がいたら、ブザーを鳴らしなさいって、その人は危ない人だからって」


「大丈夫だよ、ぼくは危ない人じゃないから」


『ビビビビビビビビビビビー‼』


 またかよォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!


 またしても周りの人たちが立ち止まって、こちらに目をやる! 


 さっきよりも明らかに疑いの目が強い!


 なにしてくれてんのこの子ォォォ!!


「ストップ、ストップ、ストップ‼」


「うん~」


 防犯ブザーを止めたのはいいのだが、何人かの人が、すっごく怪訝そうな顔でこちらを見ている。


 なんかぼくを不審者と勘違してる顔だよ、あの人たち……


 この子に言わなければならないことがある。


「なんで防犯ブザーを鳴らした⁉」


「お母さんが『ぼくは危ない人じゃない』って言う人はもっと危ない人って」


 単語一つ一つにこんなトラップが仕掛けられているのか⁉


 母親の教育、レベル高すぎだろ⁉


 感心したフリをして、ぼくはにっこり笑いながら言った。


「お母さんの言うことを聴くなんて偉いねぇ」


『ビビビビビビビビビビビー‼』


「ストップ、ストップー‼」


 防犯ブザーが鳴りやむ。


 ……今度は何⁉ 何か失言したか⁉ 


 偉いねって褒めただけだろ⁉


「防犯ブザー鳴らす要素、どこにあった⁉」


「ん~、ノリ~」


「ノリで防犯ブザー鳴らすなァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ