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第25話 副会長からのコンタクト待ち

 ――やばい。正直、不安を感じていた。


 さっき壮馬には「1週間以内に副会長との会話の場を提供する」と堂々と約束してしまったが、約束を果たせる可能性は正直限りなく低い。


 選挙の話もしないといけないのに、それもできる気がしない。


 なぜなら副会長とはまともに話せていないどころか、完璧に避けられているからだ。


 ぼくを嫌っているから避けている。それは間違いないだろう。


 でも、それだけが理由だろうか?


 仮に嫌っていたとしても、好きな相手のカップルを壊せるチャンスがある選挙なんだから、相方のぼくと協力した方がいいはずだ。


 というか、最初に協力しようと持ちかけたのはアイツの方だ。


 それなのにもかかわらず、副会長からは一切、選挙の話が来ていない。


 ということは、だ。もしかしたら、選挙自体が中止になったからぼくを避けている可能性もある。


 それが本当なら由々しき事態だ。


 選挙ができないのは断じて許してはならない。


 というのも、もともとぼくは、つゆちゃんとお付き合いをしたくてこの『卒業まで付き合わなければならない』というカップルあみだに参加しているのだ。


 しかし、念願が叶わず、偽装とはいえ副会長とカップルになってしまった。こんな茶番恋愛なんて一刻も早く終わらせる必要がある。


 だからぼくは副会長と協力をして、この制度の抜け道を作りたい、と思っている。


 さっさと副会長と別れて、そして、つゆちゃん×会長カップルをぶち壊さなければならない!


 でも、話そうとして直接会ったとしても、前みたいに「近づくな」「嫌い」「話しかけてくるな」と、徹底的に拒絶される姿しか想像できない。


 ……一体どうすれば——いや、待て。メールがあるじゃないか! 


 一番手っ取り早く、選挙の話を聞き出せる方法。以前、カップルあみだ登録の際に、副会長とメールのやり取りをしたことがある。


 そこにメールを送り込めばいい。


『副会長、選挙について聞きたいことがあるんだけど、今って項目変更の届出って生徒会には出してるのかな? そこんところ直接会って話したいことがあるから、このメールに気づいたらすぐにメールを返信してね』


 こんな感じでいいだろう。


 直接会った時に、壮馬の会話の件についても話そうじゃないか。


 あとは、以前、副会長のメールアドレスをブロックしたからそれの解除っと。


 まぁ、メールだから早く返信が来るだろう。


 ——と、思っていたのだが、数日たっても連絡がこない。


『おーい、無視ですかー? ぼくが送ったメール読んでくださーい』


 この文をメールで送って、さらに数日待っても連絡がこない。


『おーい、無視すんなー!』


 さらにさらに数日経っても、連絡が来ない。このままでは、壮馬に東京湾に連れていかれる。


 毎日のように壮馬から『今日は桃香ちゃんと話せないのか』と詰められ、そのたびに『まだ連絡が取れてないから、ちょっと待ってねー』と誤魔化して、気づけばもう約束の7日目だ。


 もちろん、途中で副会長から連絡が来ないかと不安になり、副会長のクラスにも何度か行った。


 だが、いつ行っても彼女は取り巻き男子や何人かの女子たちと話していて、割り込む隙なんて微塵もなかった。


 くっそ、このままだと選挙が行われるどころか、ぼくの命が危うい。


 今日の昼休み、覚悟を決めて副会長のいる2年1組へ向かった。


 無理やり30人以上の輪に入り込もうとしたが、やっぱりダメだった。


 仕方なく『副会長! 副会長!』と叫んでみたが、副会長は微動だにしない。


 輪の外で悔しがっていると、ふいに、副会長が一瞬だけこっちを見たような気がした。


 ……まぁ、あくまで気がしただけで、確信はないんだけどね。


 もう一度、副会長を連呼し続けるもこちらに視線を送る気配すらなかった。



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