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第16話 : 古賀一丸と衝撃の裏切り  

 2人で協力して掃き掃除を終わらせる。


 終わるころには外野の人たちはほとんど消えていた。


 放棄と塵取りを片付けしたあと、目の前の男の子はバツの悪そうな顔をする。


「助かったんだよ、えっと……名前は?」


「さとし」


「さとしちん、ありがとうだよ。ガラスの破片を掃いてくれて」


「お、おう」


 ちん? 名前にいきなり『ちん』を付けられたんだけど?


 めちゃくちゃ親し気に話してくるじゃん。


「本当はさとしちんが掃く前にぼくちんが掃かないといけなかったのに……」


「いいよ、もう終わったことだし。次、気を付けてくれれば大丈夫だから」


「うん、ぼくちんは気を付けるんだよ」


 小学生みたいに無邪気な笑顔を見せた。


 あ、そうだ。この子の名前なんて言うんだろう?


「ところで、名前はなんていうの?」


「え、ぼくちんの名前?」


「うん」


「古賀一丸だよ、よろしくなんだよ」


 手を差し出される。


「うん、よろしく」


 ぼくはその小さな手を取って握手を交わす。


 なにか友情のような絆が築かれたような気がした。


「で、一丸、聞きたいことがあるんだけど」


「なにかな?」


「どうして、窓ガラスを割ったの?」


「あー、割ったんじゃなくて、割れてしまったんだよ」


「どのようにして割れてしまったの?」


「そこにカバンを掛けているでしょ?」


 と言って、一番後ろのぼくの席の前にある机に掛かっているエナメルバッグに指さす。


「うん」


「それをぶつけてしまったんだよ」


「どうしてそうなった? てか、それで窓ガラス割れるの?」


「割れるんだよ。ぼくが席に着こうとした時に、肩にかかってるカバンを外して両手で持ったんだよ、そしたらね、それが案外と重くてバランスを崩しちゃって窓ガラスに勢いよくぶつかったんだよ。それで割れちゃったんだよ、てへへ」


 てへへじゃない。運よく人に怪我なく済んだものの、誰かがケガしていたら大変だったのだ。


 しかも、案外と重かったって言ってたけど、学校に登校する時にカバンを持った時点で気づかなかったの⁉


 まぁ、脳内ツッコミはここまでにしておこう。


 ぼくが入ってきた時には血相を変えた顔をしていたので心底、罪悪感にさいなまれていたのだろう。


 だから、反省はしているのかもしれないと思ったので強くは言わないでおく。


「まぁ、見た感じ誰もケガしていないようで良かった」


「ぼくちんも心の底から良かったと思っているんだよ」


『ガラガラガラガラ』


 会話の途中で前のスライド式扉が開いて、眼鏡をかけた女の先生が驚いた顔する。


「窓ガラスが割れているようですが、何があったのですか?」


 近くにいた女生徒がぼくたちの方に顔を向けて先生に言った。


「詳しくは分からないのですが、あの後ろの席に座っている男子が窓ガラスを割ったみたいですよ?」


 と状況をはっきりと把握していなかったために疑問形になりながら答える女生徒。先生は『そう』と言って、こっちに足を進め、ロッカー前に立っているぼくたちの目の前に止まる。


「窓ガラスが割れているようですが、何があったのですか?」


 先生は眼鏡をクイッと押し上げて、問いかけてきた。


 一丸はぼくの方に指先を向け、信じられないことを言ったのだ!


「この人がやりました」


 数秒の沈黙——


 はあああああああああ⁉


 な、なにぃ⁉ こいつ、自分の罪をぼくになすりつけやがったぁぁぁああああああ!!!


「いや、そんなこと一切していません!」


 即座に全力で否定した。


 冗談じゃない! ぼくは被害者だぞ!


「……」


 先生は一瞬黙り、ぼくたちの顔を交互に見た。


 困惑しているようだ。


「先生はうそをつくのが嫌いです。本当のことを言ってください」


 厳しい口調で一丸に詰め寄った。


 しかし、一丸は怯むことなく、再びぼくを指差した!


「この人がやりました」


 はぁ⁉ 何がしたいんだ、お前は!


 可愛い顔してとんでもない野郎だぞ!


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