① 少年
① 少年
さて、ピァはといいますと父譲りの勇敢さで、王城下街の入り組んだ道を1人的確に歩いて行きます。
彼女もできるだけ、ゲス、ダェイには会いたくないと思っていました。
奴らは狂ったように弟シノァの居場所を聞き出しますし、何より自分を餌にシノァを誘き出そうとしている節があります。
唯一の肉親であるシノァを失ったらと、彼女は身震いをしました。
父の背中を見送り、母の亡骸を古びた墓地の角に埋蔵しました。あまりにも辛い記憶です。今弟を失ったら、彼女は生きていく意味を無くすでしょう。
慎重にダェイ家の裏手に回り、壁を登って庭番のお爺さんに声をかけます。以前ピァとシノァ、それから母は王城下街に住んでいました。お爺さんはその時から、憐れな姉弟にダェイ家のゴミ捨て場を解放してくれました。
「いつもありがとう」
ピァは小さな声でお礼を言うと、納屋に入りました。ダェイ家にとってはゴミ。しかし自分達にとっては生きるための大切な資源です。
思った通り、そこにはたくさんの必要な物がありました。今回はとりわけ布が欲しかったので、ピァは大きな布袋に乱雑に入れてある黒い布を見つけると、背中に背負いやすいように持ってきた縄紐で結びました。
12歳の彼女には少し大きな荷物でしたが、お爺さんにお礼を言うと、飄々と壁を登り城から逃げるように離れました。
後は彼らに見つからぬよう、海辺の孤児院に戻るだけです。
① 少年に続く




