1.回想 ①少年 まだ読めません
① 少年
少年は名をシノァといいました。
彼の両親は幼い頃他界し、今は姉と二人で海辺の古びた孤児院で過ごしています。
孤児院と言ってもそこは、シスターがいるわけではなく、廃墟として残された建物に孤児たちが助け合いながら生活しています。
彼らもまた両親を失い、行く場所もなくここにたどり着きました。
シノァの父は消息を断ち、母は流行り病でなくなったそうです。
父は湊町で1番の素晴らしい騎士でした。
そして、母は金の髪を持つそれは美しい娘でした。
シノァも同じように、ブロンドに揺れる髪を持っています。姉は日にあたると金に輝きましたが、どちらかと言うと父と同じように見た目は栗色の髪でした。
しかしながら、シノァはその美しい髪を極力後ろで縛って帽子の中に隠すようにしていました。その理由はこの国の歴史にあるようですが、幼いシノァにはよく理解できません。
「金の髪は、この国の王のみ与えられる」
つまりは、王以外の金髪は許されない
という決まりのようです。
だからこの国では、少しでも金に近い髪の者は沈黙の差別を受けていました。
例えば、生きていてはいけないというような視線を浴びるのは日常茶飯事でした。
ですから、シノァは髪の毛一本もみせぬよう、肩まである髪を後ろでしっかりと頭上で縛って帽子を深く被っていました。
孤児院の皆は何人か彼の髪に気づいていましたが、身寄りのない彼らは助け合う中でそのようなことは知らないふりをして過ごしてくれました。
また姉のピァは頼もしく、リーダーとなり年長組を連れて海辺の漁村で仕事をもらい、生活するお金を稼いでいたので、誰一人シノァをいじめるものはいませんでした。
① 少年 に続く




