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前文
漆黒の
ウォーゼン.エゥラール
話始めはどのように書いたら良いのだろうか。私は長く生きた。そうして、この国に起きた全てのことを少しでも残そうと思った。平和であるとは言い難いが争いは少なくなり、今では五城が結束し静かに時が過ぎていく。
ここに至るまでの出来事は、ある者にとっては必要なく風の便りを耳に挟む程度のものだろう。
しかし長い人生の中で、この気にも留めない物語に耳を傾けてくれる人が少なからずいるならばと筆を取ることにした。
物語は港町の孤児院で育つ小さな姉弟から始まる。弟は誰もがため息をつくほどに美しい金の髪を持っていた。




