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野郎とおっさん〜目覚めたら少女〜  作者: 多田野熊五郎
3/3

足りない覚悟

俺がついた時にはもう遅かった。男は殺され、女も殺されそうになっていた。俺は間近で見ることしか出来ないでいた。一直線線で走って来たのにだ。俺は浮かれていた、俺はこの世界で活躍できると。転がっている死体を見て吐きそうになり、現実を感じる。すると突然大きな声が響いた。

「うあ〜〜〜ん、おと〜さぁん。」

女の後ろの馬車から男の子の泣き声が聞こえた。女を襲っている輩たちは、顔を見合わせる。

女が大声で必至に言う。

「どうか子どもだけは殺さないでください。何でもしますから。」

男の子の泣き声が止み、辺りは静まり返る。静寂の中、俺の後ろからザッ音が聞こえた。そこには真太郎さんが居た。

「えっと、今どういう状況ですかね。」

真太郎さんは場に近づき声をかける。

「助けてください、お願いし」

女が言葉を発している途中で殺された。

「うえっ」

俺は思わず言葉を発してしまった。

輩が俺たちの方を見た。

「おい、お前たち何しに来た。なかなかの上玉だな、わざわざ捕まりに来たのか。見たところ依頼を受けた冒険者って訳でも無さそうだしな。こりゃあ高く売れるぞ。」

頭らしき男が言うと、仲間も声を出し始めた。

「2人売れば全員で分けて身一年は遊んで暮らせますよ。」

「俺は黒髪の方が良い。」

「売る前に楽しませてくれ。」

併せて5人、しかも武器を持っている。俺は真太郎さんを見る。真太郎さんは俺と目を合わせると小さく頷いた。大丈夫だと励ましてくれたのだと思う。

「私たちは森に住んでいます。ここから居なくなるのなら手は出しません。」

真太郎さんが、輩に言った。完全にハッタリだ。俺たちにはどうしようもない。素手ならなんとかなるかもしれないが、斧や刀を持っている奴らに敵うはずがない。

「ほほう、どう手を出すんだ。まさか俺たちを殺せる気でいるんじゃないだろうな。お前ら捕まえろ。」

輩の頭が声を上げると男たちは俺たちに襲いかかって来た。

ダダダダダダダダダダダッとエアガンの音がなった。真太郎さんが撃ったBB弾が男たちに当たる。

「痛い、痛い。やめてくれ。」

男たちは次々に口に出したが、真太郎さんは撃つのをやめない。服が薄いため男たちの体はアザだらけになり、血が出ているところも多い。

「おい、お前たち怯むな行け。」

男たちは一瞬躊躇ったが、俺たちには再び襲い掛かる。

「宏基手を出せ。」

“創造”

俺の手に真太郎さんと同じエアガンが出てきた。

「撃て宏基。死ぬぞ。」

俺は真太郎さんに続けて打ち始めた。しばらく打ち続けると手下は次々に武器を落とした。

「わかった、今回は引こう。だが俺たちが殺した奴らの金目の物だけは持って行かせてくれ。」

真太郎さんが答えた。

「わかった。だが子どもは私たちのもとに来てもらう構わないな。」

「ああ。」

馬車から子どもが出てきた。1人かと思ったが、息を殺して泣いている14歳くらいの少女と今にも大声を出して泣きそうな10歳くらいの男の子が出てきた。

「これで良いな、金目の物を取るから少し待ってくれ。」

「不審な動きをしたら撃つからな。」

真太郎さんは子どもたちを後ろに体の後ろにやり、男たちにエアガンを向けたままにしている。俺も真似をして銃口を向けた。手にBB弾を撃たれ力が出ない手下の代わりに頭が荷物を持った。

「おい、ガキども金目の物はこれで全部か。隠してねぇよな。」

声を荒げて頭は言う。子どもたちは、涙を流しながら首を縦に振った。

「じゃあな、女ども。次会った時には殺すからな。」

輩は俺たちと反対の森の方に歩いて行った。男たちが見えなくなると、子どもたちは泣き出した。

「うあ〜〜ん、お母さん、お父さん。」

「ママ〜、パパ〜。」

子どもたちは息をしてない自分達の親にしがみつきずっと泣いた。






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