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野郎とおっさん〜目覚めたら少女〜  作者: 多田野熊五郎
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俺は美少女

「キャラクターを作成してください。」

夢の中にこの文字が出てきた。俺は夢の中だからと、好きなようにキャラ作成をした。男のケツを見ながら操作するよりも、やっぱり少女だよな。髪は白銀かな。で、どうしようか。自分の想像で作成できる為、できないことが無いので俺の想像は無限大だった。どうだこの白銀の美少女は、なかなかのものだな。ポイントはポニテかな。妄想に妄想を重ね、飽きた俺は起きようとする。だが、起きることが出来ない。俺は起きようとし続けたが気が付くと気を失っていた。


「やっと、起きれた。」

俺は目を覚ました。そのことを声に出したいほどに歓喜した。しかし喜びも束の間、声は俺のいつもの声では無い。そして、何故か霧の立ち込む森の中に居る。体に目をやると、少女になっていた。だが、髪はロングで黒髪だった。無いに等しく作った胸も、なかなかどうして確かな膨らみをしていた。表現し難い感情が俺を襲った。嬉しさでは無く、悲しさでも無く、怒りでも無い。俺が17年生きてきた中では感じたことのない感情だ。名も無い感情を抱えながら周囲を見渡すと、横には俺の理想通りの少女が倒れていた。


「ふぅ、やっと終わった。」

俺は何周目か分からないゲームをクリアし終わった。

「前回よりも30秒か」

誰も居ない部屋でひとり、呟いた。この生活をして5年くらいだろうか。行ける大学に行き、そのまま就職出来た会社で働き、帰ってゲームをしてまたゲームをするだけ。意味のあることはとっくの昔に諦め、誰に見せることないゲームのRTAをしているだけ。俺はこのまま生きていくのだろうか。もう一度、高校生に戻れたらどうだろうか。いや、多分このまま戻っても同じことの繰り返しだ。せめて何か特技や趣味でもあったなら。そう思いながら憂鬱感を覚え目を閉じた。

「キャラクターを作成してください。」

俺の夢に急に文字が出てきた。これはチャンスだと思った。夢であるが、時間が戻るかもと思った。漫画やアニメの見過ぎだと自分でも感じたが、憂鬱な心はその希望にしがみつくのを抑えることを出来なくしていた。俺は妄想した。可愛い女子高生になって、チヤホヤされることができるのでは無いかと。一心不乱にキャラを考えていると、自然と意識が遠のいていた。


「おい君、大丈夫。」

少女の声で目が覚めた。俺は唖然とした。俺がこうなりたいと思っていた少女が俺を起こしてくれたのだ。しかも森の中に居るなんて。たいそうな夢だなと思った。夢の中の人に応えるものか悩んでいると彼女が口を開いた。

「目を覚まして安心したよ。落ち着いてからでいいから、ここがどこか教えてくれるかな。」

彼女はまるで少女に問いかけるように俺に問いかけてきた。しかし、口調は何故か男子のようである。俺は答えた。

「ごめん、ありがとう。もう大丈夫、申し訳ないけど俺もこの状況はわからないんだ。」

彼女は唖然としていた。そんなにキモかったかな俺って、夢の中でもキモがられるのは流石に傷つく。

「すみません、名前を伺っていいでしょうか。」

彼女は急に丁寧な口調で、問いかけてきた。

「俺の名前は、藤田真太郎って言うんだ。普通の会社員だよ。」

彼女はまた驚いてこう言った。

「もしかして、キャラクターを作成してくださいって文字に心当たりありませんか。」

「うん、あるよ。もしかして君も知っているのかい。」

心当たりも何も夢の世界の人である彼女も知っているはずだ。こんな森の中に居るなんて随分少年的な夢だな。目覚めようとしているとさらに彼女が口を開いた。

「僕もその文字を見てここにいるんです。あっ僕の名前は、益田宏基って言います。高校2年生でした。ここは夢じゃないと思います。」

おいおい本当か。俺はこの男子の少女と一緒にどうすれば良いんだ。だが、ここは大人の男らしく。

「わかった。つまり、ここは現実ってことか。何が起こるかわからない。だから、とりあえず2人で行動しよう。力の必要なことは俺に任せてほしい。今のところ男は俺だけだからね。君も早く男に戻れるように一緒に方法を探そう。」

彼女改めて、彼が何か言いたそうにしているが気にせずに俺は立ちあがろうとした。いつもより少し地面が近く感じる。

「あの、言いにくいんですけど真太郎さん、あなたも今少女です。」

俺は自分の体を見渡した。確かに少女だ。だが、これはラッキーなのかもしれない。このまま、俺の家に戻れば少女としてなんとかやり直そうと思った。ただ少し残念なのは胸が発達していないことだ。どうせなら、あったほうがチヤホヤさせるのに。

「なんとかして戻ろうか家に。どこの山かわからないけど下って行けば家ぐらいあるはずだ。」

彼はまた何か言いたそうにしている。

「何かあったらなんでも言ってほしい。」

俺がそう言うと彼は言った。

「多分この世界は、僕たちのいた世界じゃ無いと思います。」

「は。」

俺は理解が出来なかった。

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