ナナ
私が教会の中に入ると膝をついてお祈りをしている人がいた。後ろ姿で性別などは判断できない。他には誰もいなかった。
お祈りをしている人は白っぽいグレーのような色の服を着た人だった。
その人の近くで私も同じような格好をしてお祈りしてみた。
近くに寄って同じように膝を床に付き手を胸の前に持って来て指を交差させて握るようにする。
まるでドラマに出てくるキリストに祈りを捧げるシスターのようにお祈りをするその人は頬を濡らしていた。
私は少し位置をずらしてその人の顔が見えない所で祈りを捧げるポーズをして目を閉じて考えていた。
敬虔な信者なら嫌な思いをしないでいろいろな話ぐらい聞いてもらえるのではないか?
にゃんスラの声が頭の中に聞こえてくる。
「ナナちゃん。私達とは念話でお話ができるよ。頭の中に思い浮かべてくれたら伝わるからね。まずはその人が信じれる人かわからない。こちらからは話さないで様子をみてね。」
と伝えてくるので私は
「わかった。私は目を閉じているからその人のお祈りが終わったら教えてね。」
とにゃんスラに伝えた。そのままお祈りポーズをして待つ。
「終わったみたいでナナちゃんを見ている。テイムしたスライムが離れているからテイマーなのはバレてないけどジッと見て気分が悪い。猫に擬態して隠れて様子を見ているからね。カズーも隠れてどこにいるかわからない。なんか言って来たら一緒に考えるから落ち着いてね。」
とにゃんスラが伝えてきたので私は思わず頷いてから
「わかった。」
と私は返事をしてゆっくりと5までの数を数えてから目を開けた。
お祈りしていた人が私を見て話しかけてきた。
「この村の人ではないようね。この辺で変わった人を見かけてないかしら。」
「私はこの村から少し離れた所から薬草採取をしてきたの。変わった人がわからないわ。特徴とかあればわかるかも。あなたも村の人じゃないよね。」
と私は答えた。もちろんこの答えもにゃんスラの指導で対応した。
「自己紹介も友好的な会話もなく勝手に用件だけ伝えてくる人だから警戒するようにね。」
とにゃんスラは伝えてくる。
ギルドにいた男の人みたいに絡んでくる人だと困るからね。
そのこともあってにゃんスラが様子をみて行動してと言うのもわかる。
「ありがとう。わかった。」
「実はね。私は王都からの依頼でこの近くの町で巫女の仕事をしたの。でも失敗してしまったの。だから近くの町や村に行って確認しているの。変わった人がいたらその人を連れて保護することになっているの。」
巫女と言う女の子はそう言って教えてくれた。
はっきり言って私にはよくわからない。でもにゃんスラには何か得るものがあったらしく質問するように伝えてきた。
「どんな人を見かけたらなのか教えて。その人がいたらどうすればいい?ここに連れて来たらいいの?」
と聞くと巫女と言った女の子は言った。
「女性でこの村や町で見ない服装だと思う。あればだけど私達と違う力があると言われているの。ただその力はみんなの為に使われるもので王都の神殿じゃないと開花しないから神殿で保護して生活を保障すると聞いているわ。後は私ではわからないけど神殿の偉い神官様なら詳しくわかると思うから連れて行けばわかることになっているわ。」
「考えるのは後にしてわかったと伝えて早く教会から出よう。」
とにゃんスラが伝えてきたので私はにゃんスラから伝えられた通りに言った。
「そうなんだ。わかった。見かけたら連れてくるね。」
私は教会から出て行った。にゃんスラに服屋さんに私のことを口止めするように伝えられたのでそのまま服屋さんに行ってさっき服を買った時の店員さんに
「私のことを誰かに聞かれても教えないで欲しい。ちょっとトラブルに巻き込みたくないからお願いします。」
と言ったら店員さんはニッコリとした。
「言わないからあの木の実を売りに来てね。」
と言うとパン屋さんを指差した。
「あの辺にも行ったでしょう。他のお店の人にも伝えておくから気にしないでいいよ。ついでに帽子とかこの辺のかごとか採取に便利だけど買って行かない。」
と店員さんが言うので私はしょんぼりした顔をして
「ごめんなさい。今日はもうお金がないから次回に木の実を売りに来た時に見させてもらうわ。私のことを内緒にしてくれないと次回が無くなってしまうからお願いします。」
と私は言ってお店から出て門に向かった。
門番さんに従魔の証を返しに行ってここから早く出るつもりだった。
読んでいただきありがとうございます(*≧∀≦*)
ナナ話のここでやっとなぜここに来たのかがわかった気がしますね。
たぶんあの人が失敗して…。
誰か。犯人はこいつです。誘拐犯がいます。
「ナナちゃん逃げて‼︎」と言いたくなりました。(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾