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深緑の草原の中でスライムと男の子が出会った。1人と1匹は言葉は通じなかったが何となくお互いの思いが解るようだった。
一緒に走って転がって遊ぶと黒髪の男の子が肩掛け鞄からリンゴを出して自分とスライムとで一緒に分け合って食べた。
スライムは初めて食べる果物をゆらゆらと揺れて喜んだ。
男の子はスライムが木の実を気に入ったのが解ると場所を探して歩き出す。
スライムと一緒に少し進んだ小川の近くに着くとリンゴの芯の種を埋めた。
そして埋めた場所に魔法を使った。
不思議な魔法だった。土に種を植え付けて水をあげてから何日も経たないと種から芽は出ない。なのに男の子の魔法ですぐ芽が出て茎が伸びて葉が広がりどんどん茎がしっかりとした太さで茶色になって伸びて枝が広がり葉も増えていく見上げるように大きくなって成長が止まるとそのうち白っぽい花が咲き花が散ると実が付き実は大きく育てやがて赤く実る。
男の子は木に登り赤い実を木の下のスライムの近くに幾つか落とすと木から降りて来た。スライムに赤い木の実を渡して食べるように勧める。
スライムに渡すと男の子は自分用に木の実を拾って赤い皮を服で擦ってから実をかじる。カップといい音を立てて食べて言った。
「美味しい。みずみずしくて甘い。これなら大丈夫かな。ここに魔法をかけて。この木は君のだからこの辺をドンと押したら木の実が落ちるからね。また、来るから遊ぼうね。」と言って男の子はスライムと分かれて行く。
見ていた光景がだんだんと薄くなっていき私は目が覚めたようです。
私は今まで夢を見ていたようだ。男の子とスライムの友情?みたいなお話でここにリンゴの木がある存在理由みたいな内容で魔法があってちょっとファンタジーなお話だった。うん、いい話だ。
抱きしめていたぴょんスラが伝えてくる。
「ナナおはよう。赤いの美味しいから食べよう。僕がエルからこの木をもらったの。」と私に伝えたらぴょんスラはリンゴの木にぶつかってコロコロとリンゴの実を落とす。
「カズーありがとう。」と私はお礼を言って落としてもらったリンゴを食べながら考えた。
普通の薬草が2束で銅貨1枚で白い花がついた薬草が1束で銅貨1枚で今はまだ寒くないから小川で体を洗って過ごしているけどお風呂にも入りたいしお布団で寝たい。宿屋で過ごすのに銅貨30枚必要で毎日集めるの大変そうだ。リンゴをギルドに持っていけば1個で銀貨1枚になる。ただ珍しいからこの値段だけど。
ここでの生活費を稼ぐの大変そうだと思う。
そういえばパンをもらったんだった。パンは1個が銅貨1枚で買えるけどどんな味がするんだろう。30cmぐらいの長さの細いパンをみんなで分けて食べてみた。ちょっとパサッとするけど美味しい。普通にパンの味がする。ジャムとか有るともっと食べやすいかなぁ。火も砂糖も鍋も無いから作れないけどね。
「パンだよ。」とぱんスラにパンをあげたせいか
「パン、パン、パン。」とぱんスラが伝えてきて私に嬉しそうに寄って来る。勢い良く寄って来るのでゴンゴンとぶつかって体にあたる。
「痛い。そんな風にぶつかってきたら痛いでしょ。」と私が怒る。
「パン、パン、パン。」全然聞いてない。ぱんスラはパンが美味しかったようでぴょんぴょんと跳ねている。私はますます怒る。手が出る前に見かねたぴょんスラが私とぱんスラの間に入ってくれた。
「ぶつかったらダメだよ。痛いことしたらダメ。迷惑をかけてるんだよ。ちゃんと謝って。ナナにごめんなさい。」とぱんスラに伝えてくれた。
「悪い事して謝れない悪い子はダメよ。ナナちゃんにごめんなさいして仲直りする。仲良くだよ。」とぺんスラも注意してくれる。
それを知ってぱんスラは「はっ」としたように跳ねるのを辞めて「シュン」とした感じに丸くなって私に
「ごめんなさい。ぶつからないように気をつける。」と謝ってくれた。
「悪い事は次からしたらダメだよ。パンは薬草を20本集めて交換だから集めないと食べれないよ。」とにゃんスラがぱんスラに教えていた。
「薬草をいっぱい持ってくる。パンと交換。」とぱんスラは伝えてくるとぴょんぴょんと跳ねて行ってしまった。ぺんスラが
「ナナちゃんごめんね。様子見てくるね。」と伝えると追いかけて行った。
「ナナちゃんには悪いけど村に行ってパンを交換して来て欲しい。お金を稼いでこれからの事を考える。ギルドとか教会とか聞ける人にいろいろ教えてもらって来て。」とにゃんスラが伝えてきた。私はこれからどうするのか考えないといけないけどわからない。家に帰りたい。ゲームの世界に行ってしまうお話は本で読んだ。異世界転生とかもあった。
私は転生じゃなかった。これは転移ものでよく考えたらギルドで魔法を見た。あの夢でも男の子は魔法を使っていた。
とりあえずは村に行って誰か話をできる人を探してこよう。
読んでくださりありがとうございます♪
うちのスライム優秀ですね(`・ω・´)
ゴ話裏話☆彡
「パンパン」言ってるシーン、実話から持ってきていて、1歳の時に家族がよく言っていたんですよ。
お腹が空くと「パン!」、車に乗るのと「パン!」お迎えに行っても「パン!」、私の顔を指差して「パン!」…
初めて覚えた言葉だったのもあるのですが、あの時は何を見ても「パンパン!」って言ってました(笑)