表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/15

女の子

 いやー馬鹿三人組は強敵でしたね。

 文字に起こすならそれだけで短編一本は書けるほどのすさまじい戦いだった。

 ベッドの上の意識を失った状態で転がっている三人に目を向ける。

 とりあえずロープで縛っておくか。

 能力を使って、縄を生み出し、そのまま縛る。

 亀甲縛りで。


「お疲れ様シンラちゃん。シンラちゃんがいなかったら今頃どうなっていたことか…」

「いえ、そんな。私がしたことなんて大したことじゃないですよ。全部メグミさんの力があってのことです」


 なんだシンラちゃん、照れてるのか?

 ははは、愛いやつめ。

 頭を撫でてやる。

 ナデナデ。


「んん…メグミさんにこうされるの、好きです…」


 なんだか猫みたいですごく可愛い。

 見た目が俺の好みのタイプなのも、そう感じる要因だろう。

 しばしの間、この安らぎ空間に癒されよう。

 ナデナデ…ナデナデ…。

 ところで何か忘れているような…。

 あたりを見回してその忘却したものが何かを思い出そうとする。

 周りにあるのは草と木と、美少女と、馬鹿と城だ。

 城…ああああ! 舞踏会!

 いけないいけない。一つの物に集中すると、目的を忘れてしまうのは俺の悪いところだな。

 いずれ改善しなければ。


「この馬鹿たちは放っておいて、もう行こうシンラちゃん。もうすぐ12時になってしまう」


 体感的に、もう一時間は経っているだろう。

 舞踏会の終了時間までには間に合っても、王子と踊ったりする時間を加味すれば、もう城に着いていなければならない時間だ。


「それは良いんですけど、この人達、どうします?」

「その辺に転がしておけばいいんじゃない? ベッドから出るとこの縄は消えちゃうけど、今は寝てるから大丈夫でしょ」


 それに、あまりこいつらを視界に入れておきたくないので、早めに捨てておきたい。

 亀甲縛りの男を見て悦に浸る趣味はないのだ。

 自分でやったことだが、絶賛後悔中だ。

 普通に縛っておけばよかった。

 絵面が汚すぎる…。

 お茶の間には流せない光景だ。

 …モザイク掛けとくか。

 再び能力を使い、三人の全身にモザイクを掛ける。

 うん。これで全年齢指定でいけるな!

 確かな満足感。一仕事した後は気分がいい。


「…ハッ! ってなんだこりゃあ⁉」


 あ。パールが目を覚ました。

 こいつ体力あるなあ。すぐに目を覚ましやがる。


「おいてめえ! 何だこのモザイクは⁉ なに人を汚物のような扱いしてやがる‼」


 実際亀甲縛りされたお前の姿は汚物のように汚かったし…。

 言ってやりたいが俺は大人。

 こんなことを言ったらパールが怒ることくらいは察することが出来る。


「気にするな。それは俺の愛情表現だ」

「どんな歪んだ愛情だ⁉ 隣の女もビックリしてんじゃねえか!」


 あっシンラちゃんは気にしないで。

 ジェスチャーでないないと伝えておく。

 しかし、どうするか…。

 目を覚まされたんじゃ、縄が消えた途端、また襲ってくるかもしれない。

 そう考えると、うかつにこいつらをベッドから出すわけにはいかない。

 なので、ベッドから転がり降りられる可能性を考慮して、縄をさらに追加して三人をベッドに括り付けておく。

 なんだか、だんだんこの力も使いこなせるようになってきた気がする。


「おい、なんでさらに縛るんだ! 絶対もう必要ないだろ⁉」


 あるんだなあそれが。

 説明していないから分からないだろうけど。


「メグミさんメグミさん! 私良いこと思いつきました!」

「なになに?」

「はい! この人達でさっきまでやってた実験を試してみたらいいと思います!」

「実験…っていうと、細胞を変化させたりするやつ?」

「それです!」


 なるほどー実験ねえ。

 さすがにそれは引くわシンラちゃん…。

 いくら何でも、人体実験はちょっと…。

 やっぱりこの子少しサイコ入っているわ!

 これが、監禁生活の弊害か…。


「シンラちゃん…。さすがにそれはどうかと…」

「え? 何でですか? この人達はメグミさんを襲った悪い人たちですよ?」

「そうだけど…」

「それに、実験と言っても、命に関わるものじゃないような気がしますし、大丈夫ですよ!」


 言われてみればそんなような気がする。

 やってもいいのだろうか。


「ちょっと待て⁉ その女、命に関わるものじゃないの後なんか呟いたぞ⁉」

「気のせいですよ。やだなあパールさん。黙っていてください…!」

「ほら‼ 今の聞いたかメグミ! 最後なんか闇が漏れてたぞ!」

「メグミさんを勝手に呼び捨てで呼ばないでください‼ 顔面に炎ぶつけられたいんですか…?」

「メグミ⁉ ほら聞いたよな今の‼ ………何で聞いてないんだよ畜生ッ!」


 なんだか俺が葛藤している間に盛り上がってるなあ…。

 仲良くなれたようで俺もうれしいよ。


「なんか俺のこと呼んだ?」

「いえいえ、ただパールさんが実験をやるなら俺からにしろ!って騒いでるだけです」

「言ってねえ! なあメグミ。やるならこいつらからにしてくれ! 今なら意識もないし、何してもいいぞ! 俺が許可する」

「仲間を売るなんて最低ですねパールさん…幻滅しました」

「こいつ…!」

「なんだか本当に仲良くなったね二人とも」

「「なってない(です)」」


 息もぴったりだ。

 仲の良さに軽く嫉妬すら覚える。


「はあ…実験とやらをするのは良い。けど、命のかかわるものは止めてくれないか? ほら、俺達もお前らを襲ったけど、命を奪おうとは思ってなかったからさ」

「そんなの襲われる方は関係ありませんよ。それが本当かも分かりませんし、第一、殺す気はなくても、弾みで本当に殺してしまう可能性もありますしね」


 吐き捨てるようにシンラちゃんは言う。

 もっともな意見だ。実際、襲われたときは本当に死ぬかもしれないと思った。

 パールも反論できないのか、開きかけた口を閉ざす。

 ぐうの音も出ない正論だ。

 俺がパールの立場でも、何も言えないだろう。


「…それに、本当に死にはしないと思いますし…」

「本当か⁉」

「ええ…残念ながら」


 そうなの? という視線をシンラちゃんに向けてみる。

 帰ってきた答えも、同じく本当というものだった。


「だから安心してください。メグミさんも。人を殺したりなんかはしませんよ」


 俺の不安も見抜かれていたのか。


「前の実験の時にほとんど完璧に出来てましたからね。たぶん体が破裂するなんて事にはなりませんよ」

「本当に大丈夫なんだろうな⁉」

「大丈夫ですって。それに、メグミさんなら破裂した状態でも治せますから」

「…そうなのか?」


パールがこちらを懇願するような目で見ている…ような気がする。

全身モザイク人間だから、詳しくは分からない。


「たぶんいける…と思う」


やったことないんだから分かるはずない。

 でも万能の力なんだから、いけるはず。


「なんでお前らたぶん…とかだと思う…とか不安にさせる事ばっかり言うの? お前らに体預けるのすっごい怖いんだけど」

「それが、私たちがあなた達に味あわされた恐怖です!」

「いやなんかジャンルが違くねえか?」

「変わらん変わらん。お前はそんな小っちゃい事を気にするからハゲるんだよ」

「おいメグミ…。実験終わったら覚えておけよ?」


 ……わざと破裂させてうやむやにしちゃおうかな…。


「待て! やっぱり気にしなくていい! 破裂は勘弁してくれ‼」


 勘のいい野郎だ。


「じゃあ早速始めるぞー」

「ああ。…えっ俺からやんの?」

「当たり前じゃん。許可なく人の体で実験したら犯罪でしょ」

「観念して下さい」

「仕方ねえか…」

「やけに素直ですね?」


 それ俺も思った。こいつなら死に物狂いで仲間を売るかと…。


「別に死にゃしないんだろ? なら別にいいさ」

「ああ。痛みも無しでやってやるよ」

「そいつは有り難いね。んじゃ、さっさと終わらしちまってくれ」

「オッケー! じゃあ、目を瞑っててくれ」


 能力を発動させる。

 細胞が変化するイメージ…。

 体の大きさから骨格まで、どんどん変化させていく。

 変化させている間は、パールの痛みの感覚などを遮断させているので、何も感じていないだろうが、これを解除したらどうなるだろうか?

 少しだけ試したくなるが、人の体で遊んじゃ駄目だよ!

 と俺の良心が囁くので、今回は止めておく。

 数秒かかり、体の変化が終わる。


「終わったぞー」


 パールに向かって声をかけてやる。

 未だに、全身にモザイクが掛かっているので姿は分からないが、俺がイメージした通りの姿になっているはずだ。


「…何か変わったのか? 全然何も感じなかったが…」

「ちょっと待ってな。すぐそのモザイク消すから」


 パールの方から聞こえてくるのは、快活そうな女の子の声だ。

 実験は成功かな?

 能力を解いて、実験の結果を確認する。

 モザイクが消えると、そこには赤い髪をした少女が亀甲縛りで縛られている光景があった。


「アウトォォォ⁉」


 これはマズい。何がマズいって絵面がマズイ。

 さっきまではR18G的なヤバさだったのが、R18の犯罪の光景に変わってしまった。

 犯罪臭漂う光景を何とかしようと、パールをベッドに縛り付けている縄を解除する。

 亀甲縛りは念のためそのままだ。


「なんだようるせえな…。実験とやらは成功したのか? 縛られた状態じゃあよく分からんから教えてくれ」


 パールは自分の姿が変わったことに気づいていないのか、そう尋ねてくる。

 これ教えてもいいんだろうか…。


「実験は…たぶん成功したと思う。だよねシンラちゃん?」

「ええ。早くこの人をベッドから降ろして確認してみましょう」


 シンラちゃんはそう言って、パールを突き落とす。


「ぐええっ」


 女の子になっても中身は変わらないようで、鳴き声が汚い。

 パールがベッドから落ちると、体を亀甲縛りで縛っていた縄は消滅したが、彼の姿そのものは変わらないようだった。

 実験は成功だ!


「やったねシンラちゃん。これでシンラちゃんにも同じ方法でその姿を定着させることが出来るよ」

「ええ。良かったです!」


 二人でハイターッチ!

 パンッと子気味いい音を響かせる。

 その音で目を覚ましたのか、ロックとシーザーが声をかけてくる。

 モザイクが掛かっているので、声をかけてもらえないと起きたかどうかの確認も取れないのが不便だ。


「あれ、そこな少女は誰ゲスか?」

「僕たちがいない間に何があったでぶぅ?」


 こいつら全身にモザイクが掛かって、亀甲縛りにされても全然動じないのか…。

 精神的にタフすぎるだろ。

 同じ人間とは思えないメンタルだ。


「おー起きたか。お前らが寝ている間に俺がどんなに苦労したか。じっくり語ってやろうか?」

「あなたはただ縛られていただけでしょうに…」

「お前は黙ってろ」


 パールの奴、自分の姿が変わっているのに気が付かないのか?

 体格どころか、声すら違うだろうに。

 やっぱり馬鹿だからだろうか?


「説明をもらえるのは助かるのゲスが、あなたはどちら様ゲスか?」

「それに、パールはどこに行ったでぶぅ? まさか自分だけ逃げたとか…」


 パール…お前信用無いのな…。

 まあ俺も同じ立場だったらまず最初にそれを疑けど。

 パールはそういうことしそう。

 一線を越えた悪いことはしないが、性格はお察しの通りだ。かなり酷い。

 あいつ、さっき寝ている仲間を売ろうとしてたしな…。


「おいおい、何言ってんだ? 俺ならここにいるだろ。長年連れ添ったダチを忘れちまったのか?」

「いや、パールは君みたいな可愛い女の子じゃなくて、もっとハゲで目が腐った感じの筋肉だるまゲス」

「そうでぶよ。間違ってもあんなやつの名前を騙ったら駄目でぶぅ。その小さなお口が汚染されちゃうでぶよ?」

「殺す」


 ああっ! ロックとシーザーの二人が少女に馬乗りされてボコボコにされてる⁉

 二人は未だにベッドに縛り付けられているので、全く抵抗できないようだ。


「縛られてて好都合だ。オラッ! 悪口を言うのはこの口か?」


 モザイクが掛かってるのによく顔がどこにあるか分かるな。

 可哀想なので、縄を消してやる。ついでにモザイクも。

 だが、もともと抵抗する気は無いのか、二人はそのまま動かなかった。


「僕たちなんで殴られてるゲス? そこまで痛くないので別に構わないゲスが」

「これはむしろご褒美でぶぅ…」


 やはり見た目相応の筋肉量になっているのか、ダメージはあまり入っていないようだ。

 片方はもう死んだ方がいいんじゃないかな。


「はあっはあっ…。今回はこの辺にしといてやる…」


 息も絶え絶えで、体力も減少しているようだ。


「ふふふ…随分と可愛らしいパンチでしたね?」

「ッ黙ってろ! おいメグミ! どうなってんだ? 力が出なくなってんぞ!」


 それぐらいの変化は気が付くか。

 俺へ抗議しにベッドに詰め寄ってくる。


「ほい鏡」

「ああ。ああああああ⁉ なんじゃあこりゃあ‼」


 少女の姿で野太い声を出すんじゃない。


「おいてめえこりゃどうなってやがる! 俺の筋肉はどこに行きやがった!」

「実験の結果こうなった。お前は承諾をしたんだから後からガタガタ言うんじゃないよ」

「そうですよ。いいじゃないですか、可愛くなったんだから。世の中にはそうなりたくて必死に頑張っている人もいるんですよ? 贅沢言うもんじゃありません」

「なりたくねえ人を勝手に可愛くするんじゃねえ!」

「えっ⁉ その女の子が本当にパールなんでぶか⁉」

「あり得ないゲス…」


 相手がパールだと分かった途端、ベタベタと触りだす二人。

 傍から見ると完全に事案ですね。

 通報は市民の義務なのだが、相手がパールなので今回は見過ごす。

 見た目は美少女でも中身が腐っていると、助ける気は無くなるもんだなあ…。


「てめっ、てめえらベタベタと触るんじゃねえ! おい今変なとこ触っただろ⁉ ちょっ触んな、やめ…」


 …やっぱり止めた方がいいかもしれない。 

 流石に無いと思うが、R18展開は見過ごせない。

 ていうかこいつら本当にキモイな!

 シンラちゃんも俺もドン引きだよ。


「その辺にしとけ。これ以上するなら、腕の皮全部剥ぐぞ」

「「イエス、マム」」

「サーだよ」


 賢明な判断だ。


「おっ、お前ら…後で覚えておけよ…」


 顔を上気させて、へたり込むパール。

 パールのくせに、少し色っぽく感じるのがムカつく。


「で、本当に何があったんゲスか?」

「パールが女の子になったところを詳しく教えて欲しいでぶぅ」


 うーん説明とか俺苦手なんだよなあ。

 でもシンラちゃんに語らせると長くなりそうだし…。

 仕方ない、俺がするか…。


「分かりました! 私が説明しま「俺がするからシンラちゃんは休んでいてよ」…はい」


 シュン…とするシンラチャン。

 ごめんね、でも長くなるから仕方がないんだ。

 そうして出来るだけ手短に事のあらましを伝える。

 説明が終わったのは、ちょうど城の方から鐘の音が響いて来た時だった。


「なるほど。そんなことがあったでぶか」

「それでパールがこんなことに…」


 納得してもらえたようでなによりだ。

 実験も終わったし、そろそろ俺達は城に向かいたいんだが…。


「なあ、早く元の体に戻してくれよ」


 こいつがしつこい。

 さっきからずっと人の服を引っ張ってきて、説明の邪魔ばかりしやがる。


「子供じゃないんだから少しは落ち着けよ。ちゃんと戻してやるから」

「ちょっと待つでぶぅ!」


 なんだ?

 急にロックが物申してきた。


「せっかく美少女になったのに、またあのブサイクに戻してしまうのはもったいないでぶぅ。このままの方が絶対いいでぶよ」

「そうゲスよ! ハゲよりもそっちの方が世のため人のためになるゲス!」

「てめえら人の体を何だと思ってやがる⁉ そんなに美少女が好きならてめえらがなりゃ良いだろ! 俺を巻き込むんじゃねえ‼」


 パールがそう言うと、二人は顔を見合わせる。

 二人ともまるでその手があったか!みたいな顔だ。


「メグミ様! どうか我々にもその女体化の術を…」

「お願いしますでぶぅ!」


 マジで? 本当にいいの?

 正直シンラちゃんにする前に、もう少しだけ実験したかった。

 だけど、それを諦めていたところに、二人の話はまさに願ってもないものだった。


「お前ら正気か⁉ 自分が何を言っているのか分かって言ってるのか⁉」

「もちろん正気ゲス。パールこそ知らないんゲスか? 冒険者といえど、ちやほやされるのは見た目が優れているものばかり。一部の強者以外は、見た目が良くないとモテないゲスよ」

「そりゃあ知ってるけどよ…。でも女になったら意味ねえだろ⁉ 恋愛もできないじゃねえか」

「チッチッチ。これだから田舎者は困るでぶぅ。今時は同性愛者の冒険者も多いって話でぶよ?」

「マジかよ…」

「そこのメグミ様だって女の子が好きだってさっき言ってたゲス」


 あー確かに言ったけどそれは俺が男だからで…。

 話ややこしくなるし言わなくていいか…。


「女になるのは百歩譲って良しとしよう。俺は良くないが。だが、戦力の低下はどうするつもりだ? 俺はこの体になったことで筋肉が無くなってしまったぞ」

「じゃあその細腕の中に筋肉をギュッと詰めればいいじゃん。見た目は変わらなくても、前と同じ筋肉量にできるぞ」

「メグミ様もこう言っているし腹をくくるでぶぅパール。その見た目の方が人気も出て、ちやほやされるでぶよ!」

「うぐぐ…」


 何でもいいから早くしてくれ。

 そろそろ本当に時間が無くなってきたんじゃないか?


「シンラちゃん今何時くらいか分かる?」

「えーっと…さっき城の鐘が鳴ったので、12時は過ぎてますね」


 なるほど12時過ぎか…。

 え? やばない?


「12時ぃ⁉ もう舞踏会が終わるまで一時間もないじゃん‼」


 大きな声をあげて、驚く。

 その声につられて、馬鹿三人組がこちらを向いてくる

 こいつらに付き合っていたせいで、かなりのタイムロスになってしまった。


「お前らやる気あるなら、とっととこっちに来い!」

「ちょっと待ってくれ。まだ話し中だ」

「知るか馬鹿! 女体化じゃあ‼」


 盗賊相手に話し合いなど無用。

 ベッドを動かし近くまで寄り、我儘を言うパールを再び軽く跳ね飛ばして、ベッドの上まで乗らせる。

 ほか二人は素直にベッドの上に来てくれた。

 そして、一瞬で体を変化させる。

 パールは筋肉を、ロックは青髪の少女に、シーザーは黄髪の少女にだ。

 変化させたらベッドから放り出し、そのまま城に向かう。


「うおい‼ 適当にやりすぎだろぉぉぉぉぉ!」

「「メグミ様ぁぁありがとうゲス(でぶ)ぅぅぅぅぅ!」」


 三人の声が遠ざかっていく。

 あいつら盗賊だけど、面白い奴らだったなー。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ