猫嫌いの雄叫び
俺は猫が大嫌いだ。
あの傍若無人で都合のいい時だけすり寄ってくる厚かましさが嫌いだ。
トイレのしつけもできないくせ「ウチの仔」が虐待されたと怒鳴り込んできた近所の「猫屋敷」のバ
バアも大嫌いだ。
ババアんとこの「仔」にトイレ代わりにされて、芝生もハゲあがり鼻も曲がらんばかりの最早瘴気と
も言い換えられそうなものが立ち込め隣人からは「豚舎の隣の方がいい」とまで罵られたうちの庭。
俺は自己防衛のために懲らしめただけなのだ。たかだかうちに入り込んできた外道にペンキスプレ
ーやら痴漢撃退スプレーやらを吹きかけ、軽く吹き矢を打ち込み、通り道にガラスの破片やら虎罠を
仕掛けただけじゃないか。まあおかげでクズどもの出所が「猫屋敷」とわかったんだが。
なにが「わざわざ200メートルも先のウチまでウチのカワイイ仔をイジメに来なければならない
の?」だ。
200メートルも先まで出張して用を足してるのはあんたのくそ毛玉だ!俺は一歩も家を出てねぇ。
なにが「ウチのカワイイ天使ちゃんたちを殺す気?あんたなんかなんで死刑になってないの?」だ。
こっちはまだ警告しただけなんだよ。大体30匹もクソ垂れててテメェん家臭くないのはおかしいと
思わねえのか。俺は10年自宅警備してるんだ。その間ずっと鼻つまんで生きてきたんだ。
コミュ障気味の俺は、猫ババアにこう言い放った。
「ええと・・・あの・・・うちのドラゴンの餌にするのは可哀そうだと思って」