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うさぎは王都で伝説になる  作者: ばぁむくーへん
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ミーナ・アストラル



私の名前はミーナ・アストラル。14歳、兎の獣人です。


アムール王国の北端、ナムル村で暮らしています。両親はもう他界していて、寂しい時もあるけれど両親が残してくれた家と畑があるから暮らしに困ることはないです。


私の家は平屋で、両親の部屋、私の部屋、居間と三部屋あり、外には狭いながらも畑があるの。今は春だけど、北端にあるこの村はまだ雪がちらつく日の方が多いから畑はお休み中。


「んーーっ、早く雪止まないかなぁ」


ミーナは窓を開けて外を覗くが、昼近いというのに雪が降ってるせいで薄暗い。



「そろそろ野菜の備蓄が危ないなぁ。野菜食べないとアルトがお菓子作ってくれないし.......そうだ!お菓子貰うついでに野菜もらってこよう!」


セルヴおじいちゃんは私の家の裏にある森の奥で暮らしているちょっと変わったエルフのおじいちゃんだ。


「でーもなー、おじいちゃん絶対私がそろそろ来るの知ってるし、また罠増やして嬉しそうに待ってるんだろうなー。」



セルヴおじいちゃんとは7年の付き合いになる。両親が亡くなってからは同じくらい愛情を注いでくれた優しい人。

5年前に私が魔力を覚醒させてからは本格的に修行を始めた。修行が始まってからセルヴおじいちゃんは私が家に遊びに幾度に訓練と称して凄い数の罠を家の周りに仕掛けて私を嵌めようとしてくる。


修行の時も満面の笑みでえげつない攻撃して来るからその時のおじいちゃんは怖い。ぶるっ



「やっぱり行こう!家に居ても暇だし、久々にアルトにも会いたいし!」


アルトはセルヴおじいちゃんの契約精霊獣だ。フェンリルだけどモフモフさせてくれるし、人型になった時は美味しいお菓子も作ってくれる。アルトのバームクーヘンは絶品だ。


アルトのモフモフを思い出してニヤニヤしながらも準備を終えた。


ニーナは薄桃色のモコモコニットワンピにロングブーツ、足元まで隠れる黒いフードを着て家を出た。


ニーナの家は森の直ぐ前にある。森には魔獣がいるが、家の周りには父親が置いてくれた魔除けの魔法具があるため中級の魔獣位なら寄せ付けない。


まぁ森から出てくるのは弱肉強食の世界に負けて逃げてくる低級魔獣くらいだが。


「お日様出てこい♪畑よ実れ♪お腹空いた♪」


ニーナは滅茶苦茶な歌?を歌いながら森を進む。時たま魔獣の視線を感じた方向をにらめつけながら。


セルヴおじいちゃんに魔法と体術を学んでから、低級の魔獣なんかは睨めば逃げる。


......睨めば逃げるなんて普通はおかしいのだがニーナは気付かない。



「あっピーちゃん!こんにちわー!」


《ニーナ、オサンポ?ピー、イッショ、イキタイ。》



この森、リーフベルトは別名魔の森と呼ばれ、魔獣は勿論、精霊も数多く住んでいる。


ニーナがピーちゃんと呼ぶ目の前の小さな蝶の羽が生えた子も妖精だ。


普通、精霊は人前には姿を現さない。昔人間に乱獲され、同族以外には警戒心が強い。だがミーナはピーちゃんが子供の頃命を助けた事があり、この森の精霊達には慕われている。



「これからセルヴおじいちゃんの所に行かなきゃだから帰りに遊ぼうね!」


《ワカッタ、カエリ、マッテル。》



精霊と別れ、また違う精霊と同じ会話を度々繰返しながら2時間、やっと目的地についた。


「こんな森の奥にポストなんて置いて、手紙くるのかな?」


不意に開けた何もない場所。だがニーナにはポストとその先にある小屋が見えている。


セルヴおじいちゃんの小屋の周りにはおじいちゃんお手製の結界が張ってあるため、並の人じゃ見つけられない.......らしい。


......ポスト、手紙入ってるの見たことないなぁ。



「さて、気合い入れますか!」


ニーナは軽く屈伸をして走り出す。



ガコンッッッ


ポストを越えて3歩も行かないで足元に落とし穴が現れる。ニーナはそのまま飛び越え着地......しようとしたが、着地地点の地面から突如土のトゲが生えてきた。


「よっっっ」


体制を無理やり変え、着地。その勢いのまままた走る。と今度はどこからともなく矢が飛んできた。


「はいはいっと」


ブーツに仕込んでいたナイフで払い落とすが、落とした矢は地面でカタカタと揺れるとまた浮かんでニーナを狙う。


「追尾?!セルヴおじいちゃん今日は大盤振る舞いだね!?」


後ろから迫っていた矢に向き直すと矢の側面へ素早く回り込み、踵落としで矢を完全に折る。



それからも岩が降ったり、擬態した魔獣が襲い掛かってきたり......おじいちゃん......。



「ついたー!」


ポストから小屋まで100mあまり、後ろを振り返ると庭はぐちゃぐちゃ、魔獣の屍だらけ。



きっとこれ片付けるのはアルトなんだろうな.......まぁ私のせいじゃないし!


ガチャ



「セルヴおじいちゃー............ん?!」



玄関を開けると目の前に拳。思わずミーナは拳を受け止めた勢いのまま襲ってきた者を後ろに投げ捨てた。



「何するんじゃミィ!か弱い爺を苛めるもんでわないぞ!」


ミーナは後ろを振り返り、腰を擦りながら文句を言う......おじいちゃんには到底見えない イケメンエルフに向かって笑いかける。








「とりあえずセルヴおじいちゃん..................アルト何処ですか?お腹空きました。」









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