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核融合発電、実施グループ結成

可能なら明日も投稿します。

沢山の人にブックマーク、評価をしていただいて嬉しいです。

少し進行が遅いかも知れませんが、中身を濃くしようという試みなので御辛抱ください。Revolutionとはかなり違った趣になると思います。


 一方、狭山は、友人である西村、安田、吉田に会って、誠司のPCの話をした。

当然、最初彼らは信じなかったが、狭山がプリントした回答を見せると、最初はどこかのネットから引っ張り出したものであろうと言っていたものの、その要所を説明するとようやく信じるようになった。

そこで、誠司との打ち合わせ通り、彼らと午後16時に狭山の家で待ち合わせるように約束して別れて自分の研究室に急いだ。

 

 論文を、同じ研究室の博士課程の先輩である、吉村博人に見せようと思ったのだ。吉村は、博士課程3年生の最上級生であり、博士論文はすでに書き上げて、博士合格は間違いないと言われている秀才で、すでにシンクタンクに就職が決まっている。  

 秀才にありがちな嫌味なところはないが、気に会うものしか相手にしない面がある。狭山は吉村から気に入られており、ちょくちょく誠司も交えておごってもらって飲んでいる相手である。


 吉村は、相当に株の投資で稼いでいるらしいが、狭山がその要領を聞くと

「経済をやっていて、投資で儲けられないような奴はやぶ医者と一緒だぜ。しかし、大学の先生なんて皆その口だけどな」などと毒舌を吐くが、間違いない銘柄を少し教えてくれており、狭山も合計すれば100万ほどは儲かっている。


 部屋に入ると、吉村はいつものように研究室でパソコンの画面を睨んでいるが画面を見ると英文である。

「吉村さん、ちょっといいですか?」狭山が声をかけると、吉村は画面から顔をそらし目をしばたいて、首を回して狭山を見る。


「ああ、狭山君か、一休みしようと思って所だ。いいよ、そこへ座れよ」

 そう言って、回転いすを回して、狭山の方を向く。

「吉村さん。これを見て頂けますか?」


「ふーん、何かな、これは」受け取って流し読みをしようとして、最初のページに目を止め、きっちり読み始める。この論文は長いせいか、5ページのサマリーがついている。


「ちょっと時間がかかるがいいかな?そうだな、昼まで1時間半くれ」吉村が言うので、

「ええ、もちろん、僕は修論をまとめていますよ」狭山は自分の机に行ってパソコンを開く。


 開くファイルは、やはり昨日誠司から受け取った論文であり、理解できていない部分を繰り返し読む。

 見ればみるほど、この論文には穴がない。現状認識、問題の抽出、解決策の提示、最善案の抽出など、彼には分らない分析方法も使って、きちんと根拠づけたうえで述べている。


 比べて、自分が書き進めている論文のなんと薄っぺらいことか、これには頭を抱えざるを得ない。

 しかし、なにより重要なのは、我が国の経済に迫る危機を見事に描き出している点だ。

 まじかに迫っている中国経済の破たんをきっかけに、中国の悪あがきが原因で、欧州、アメリカが大きな痛手を受け世界経済が落ち込むとしている。その中でも、とりわけ中国が日本を狙い撃ちにして、日本企業と国との負債を意図的に踏み倒しにかかるため、円の大暴落の可能性が強くなっているというシナリオである。

 中国政府の近年の日本へ対する悪意ある行動から考えると、それなりに可能性のあるシナリオであるし、中国経済のハードランディングはもはや避けられないというのが、経済を学んでいる者の常識である。

 それ以上に恐怖なのは、経済の周辺環境の話としてある、中国の核ミサイルによる日本列島の破壊のそれによる日本の降伏だ。これは極めて簡潔にしか書かれていないが、中国がアメリカと裏で手を握った状態で尖閣列島の侵略に乗り出し、自衛隊の反撃によってほとんど艦艇が全滅する被害を受けた結果、その報復と称して日本に核ミサイルを撃ちこむというシナリオだ。

 昼のチャイムが鳴ったのをきっかけに、吉村が書類から目をあげて、「狭山君、大体は読んだよ、一緒に食事に行こうや」書類をクリヤーファイルに挟んで誘う。

「ええ、行きましょう」


 歩きながら吉村が話しかけてくる。

「これは、すごい論文だね。どこから手に入れた?」狭山は昨日からのいきさつを説明する。


「ふーん、君がそんなつまらない嘘をつくとは思えないから事実だろうね。

 これは、僕の判断できる限りでは、世界中の誰にも書けない論文だ。しかも、僕はこのなかのとりわけ現状分析は正しいと思うし、その意味からも近未来の不吉なシナリオも相当に努力しないと避けられない。

 

 でもわからないのは、1年後位に我が国に産業革命を起こすという処方箋があることだ。なんで、これだけ完璧な論理建てのなかにそんなナンセンスなことを言っているのか。しかも、それがベストと言うことになっている」


「僕も気が付きました、しかし、実はそれはナンセンスではないのです」狭山は誠司の進めようとしている核融合発電機の開発計画のことを説明した。


「なるほど、これほどのものを答えるマシンなら、物理科学面でその程度の後押しはありうるな。うーん面白い。これは面白いことになったぞ。いずれにしても、日本経済破たん、日本降伏のシナリオは絶対に防ぐ必要がある。僕にもそのマシンを使わせてほしいな」


「ええ、今日の夕方に私も家で、牧村がマシン、マドンナと言う名ですけど、をもってきて、私の友人と集まる予定になっています」

「なんだい、そのマドンナというのは?」

「だから、牧村のPCの名前です」

「ふーん、返事をするのかな?」

「するかもしれませんよ」


 その後、学食にて、吉村から論文中の疑問点を聞きただして、論文の全体像をようやく理解した狭山であった。吉村も当然、狭山の家での会合に行くことになった。

 グループのたまり場になっている狭山の家は、大学からバイクで10分程度の距離であり、千m2程度もある大きな敷地に建っている2階建ての大邸宅である。中には事務所として作られた部屋があって、会議机が置いてあり、10人以上は十分座れるようになっている。彼の家は、地元の歴史のある旧家で、家業は広大な森林を所有した上で材木店を営んでいる。


「ちーす」誠司がマドンナの入ったリュックを背負って、いつも通りの部屋に来ると、吉田真由美がすでに来ていて、狭山と話している。狭山と、ぽっちゃりして色白の少し小柄な吉田は高校のころからのいい仲ではあるが、どちらも博士課程を終えるまでは結婚しないそうだ。


「真由美ちゃんは久しぶりだね。元気してた?」誠司の言葉に、

「ええ、実習で追いまくられているわ、でも今日は来なきゃね。そのマドンナちゃんを見せてよ」

 そう請求するので誠司はリュックを降ろして、電源を入れてマドンナを立ち上げる。

「質問はもってきた?」

「うん、知っての通り私はがんの予防の研究をしているよね。結構いいところまではいっているとは思うのだけど、処方の有意な差がでないのよ。ちょっとそこのところをね」


「で、USBにワードで入れてきた?」

「ええ、これを」彼女は誠司にUSBを渡す。

「よし、ほらここにきて見ておいてご覧んよ」

 彼女が横に来て画面を覗ける位置にくると誠司はUSBを差し込んで、質問を開き、内容を確認してエンターを叩く。

 少し、間があいて回答がでてくる。スクロールしていって20ページでとまる。

 誠二は、内容をUSBに落とすとともに質問を一緒にしてファイルに保存する。

 作業をしながら、「どう、どんな感じに見えた?」

「うん、すごくいい。すごい内容だと思う。でも、これは自分でやったと言っていいのかなあ?」


「その点は、自分の目指したところの延長線上であらばいいのだと僕は思う。

 僕の場合の核融合の論文はそうじゃないけどね。あれは、確実にノーベル賞を貰えるレベルのものだけど、僕が考えたもののはるかな延長線上のものだ。

 だから、あれはマドンナの成果だ。でも、僕は必ずなにか考えるよ、ノーベル賞にはならなくても、人類に貢献できたというものを絶対考える。幸い、僕にはマドンナがあるから、いま時間を作っていろんな質問をして学んでいるんだ」


 そのように誠司が熱く語っていると、機械工学の西村慎吾、電気工学の安田幸男がやってきたが、時計を見ると大体約束の時間だ。

「おお、西村に安田しばらく会ってなかったな」誠司の言葉に2人がハモって

「おお、久しぶり」といって、少し照れる。

 西村は、中肉中背で色が浅黒く高校時代は野球部だったが、結局レギュラーには定着できなかったのものの動作のきびきびした闊達な好青年と言ったところだ。現在はサッカー同好会に入って活動している。

 

 安田は、色白だががっちりしていて、精悍な感じがする柔道マンである。いずれも彼女がいて、将来を約束している仲である。考えたら相手が居ないのは誠司のみである。誠司は身長176cmあって、ラグビーをやっていただけはあって体は引き締まっているし、研究に没頭はしているが今でもジョッキングは欠かしていない。

 顔だってイケメンとは言えないが、目は下がり気味で少しひょうきんな顔だがまあ悪くはない。

 性格は当然オタク気味だが、嫌みでもなく、まあ付き合いやすい方だ。それが何で、彼女がいない歴23年であるかと言えば、タイミングが外れているとしか言いようがない。どうも女の子に付き合おうとするようないい感じになると、相手の都合が悪くなったり、誠司がドジをして愛想をつかされたりということで、本人も臆病になってしまって、気になる子はいるが声もかけられない。


 誠司は取りあえず、USBメモリーを吉田嬢に渡して、西村と安田に言う。「西村と安田には頼みたいことがあるんだ、いいかな?」

「何だよ。行ってみろよ」積極派の西村が応じる。

「聞いたと思うが、俺は核融合発電機を開発すると決心した。しかし、俺は知ってのとおり理学だから、工学には疎い。従って、開発するまで2人には付き合ってほしい。たぶん、2年位かかると思うが、これは人類史に残る偉業だぞ。どうだ?」


「な、なんだと。核融合!そんなものが出来るわけねえじゃん。プラズマにトリチウムだろ。数千万度の温度をどうやって作るのよ?」ちょっとおっちょこちょいの西村が叫ぶ。


「え、狭山話してないのかよ?」誠司は狭山の顔を見るが、「俺には説明できんよ。まあ、今から説明するんだな」と彼は肩をすくめる。

 

 そこで、誠司は論文を出して説明し装置のイメージを語る。

「うん、お前の言うことはわかった。しかし、このPCが狭山が言っていたマドンナか。前のシルバーのものを買い替えたんだな?」少し落ち着きのある安田が言う。

「ああ、いい色だろ?」

「うん、まあ色はいいから、まず、本当に狭山が言うのような機能があるか確かめさせてくれ。俺の質問は用意してきた」と安田はUSBを差し出す。


「ああ、いいよ。ここにきて、答えを見てくれ」誠司はそれをPCに指し込みながら横の席に招く。

 さすがに、誠司の友人にウイルスの入ったUSBを持ってくる奴はいないから、彼もその点は気を許している。画面に浮かび上がった質問を確認してエンターを叩くと、いつも通り少し間を置いて、文字と図が浮かび上がってきて、大体5ページくらいがスクロールしていく。

「どうだ。求めていたものかな?」


「うん、これはすげーや。期待以上だと思う。読んでみないとはっきりはわからないが」誠司がUSBに落とす作業をしているうちにも安田は興奮を隠しきれないようだ。

 同様な操作を西村の持ってきたUSBにもやって、

「では、概ね得心してもらったと思う。協力いいよな」誠司の言葉に2人は答える。


「うん、わかった」

「俺もわかった、全面的に協力するよ。これは俺たちにとっても大チャンスだもんな」

 と西村と安田が言ったところで、席を外していた狭山が吉村をつれて現れる。


「おい、皆、この人はドクター3年の吉村さんだ。経済学博士号取得間違いないという優れものの人だから、経済については何でも聞いてくれ」

 それに対して、すでに何回か飲んだことのある誠司は別としてそれぞれが挨拶をする。


 吉村は、空いている席にさっさと座って、約50ページの論文を見せながらしゃべる始める。

「いや、よろしく。吉村です。狭山君からこれを見せられてね。これは冗談ごとではないと思った次第だ。 これは、大変なペーパーですよ。おそらく、論理的にこの内容に反論できる経済学者はいないと思う。  もっとも、経済学者と言っても論理的でない人もたくさんいるけどね。特に財務省の御先棒担ぎはね。


 この中の近未来のシナリオはちょっと怖すぎるけれど、非常に蓋然性が高いのが困りものだ。これを克服するには、牧村君、君の考えている核融合発電を実現するしかない。それだけではなく、この中にちらりと触れているが、どうもその技術の延長で車両運行の電気駆動化、ぶっちゃけていうと超高効率電池がその核融合発電機の技術の延長で出来るようだが、どうなんだろう、牧村君?」


「え、ええ、待ってくださいよ」誠司は腕を組んで考え込む。

 2分ほど黙り込んでうつむくが皆見つめているなかで、再度口を開く。

「うん、出来るよ。出来ますよ。核融合に比べれば簡単だ。だけど、充電と言うか原子の配置を変えなくてはならないので、電池は工場で処理するしかないですね。でも、うーん、間違いなく。従来とは比べ物にならない容量になるよ」


「そうだろう、そうだろう。要は、その核融合発電と超バッテリーでこの日本のというより世界の燃料としての化石燃料の必要性をなくすことが日本発でできれば、最良のシナリオに進めるのだよ」

 その後、吉村は皆に手元にある論文のシナリオ及びその提示されている解決策を説明する。


「そういうことで、我が国の将来、いや我々の幸せな将来のためには、この核融合発電プロジェクトを出来るだけ早期に完成させることが絶対的に必要なのだ。

 私も、経済の立場から間接的ではあるが、出来るだけの協力はするし、皆も全面的に協力しよう。な!」 

 吉村は手を出して、皆にも出すように求める。

「皆手をだせ!今日、ここに集まったものは、名付けて日本再生計画のメンバーだ!

 まずスタートは核融合発電機の建設だ。いいか、牧村君たち理系のものの責務は重いぞ。また、皆も間接的にでも頑張ってくれ!」誠司も聞いているうちに乗ってきて、

「おおー、頑張るぞ!超特急で核融合を実現するぞ!」と叫ぶ。

 他のものも「オー!」と叫ぶが真由美は少し嫌そうだ。


ちょっと中途半端ですが切ります。

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