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日本対中国・韓国紛争1

飛行機の中で頑張って書きました。

 X-dayが2日後に迫った日、首相が出席して非公式の安全保障会議が開かれている。

「それで、韓国の準備状況は変わりませんか?」官房長官の問いに自衛隊の統合幕僚長が答える。


「はい、着々と準備は進んでいます。韓国はやる気です。準備されている艦船としては世宗大王級駆逐艦2隻、忠武公李舜臣級駆逐艦5隻、仁川級フリゲート艦5隻に加え、孫元一級潜水艦5艦を動員するようです。

さらに強襲上陸艦である独島艦のほか輸送艦を5隻ほど用意していますので、上陸軍も3千名ほど用意しているのかと思われます。

加えて、大邸空軍基地にF15KとF16が集結していましてこれは強敵ですが、F15 は60機の保有数のうち部品の友食いなどで実際に稼働できるのは半分の30機以下、F16は保有数51基中でいいところ使えるのは20機でしょう。他は殆ど戦力にならないので出してこないと思われます」


「それから、中国の最新情報はどうですか?」官房長官の問いにさらに統合幕僚長が答える


「はい、空母遼寧と護衛大型駆逐艦5隻はすでに演習と称して出航していますし、さらに10隻の大型駆逐艦及び10隻のフリゲート艦が出航準備をしています。間違いなく尖閣に来ますね。

 さらに、福建省の基地に戦闘機と攻撃機が集結しています。おそらく攻撃機のSu-30が50機以上、J11ほかの戦闘機が50機以上は出撃してくるかと思われます。まだステルス機J-20は実用になっていないという情報です」


「うーん、2正面か、厳しいな。それでこちらはどのくらい出せる?まず海は?」

 防衛大臣が聞くのに海上幕僚長が答える。

「今回は、殆ど全力出撃にならざるを得ないと思います。

 従って、DDHのいずも級2艦を改F4ファントムの母艦として出します。またイージス艦のあたご及びこんごうで5隻、DDGのあきつき、たかなみ、むらさめ、あさぎりで20隻、潜水艦もそうりゅう、おやしお型の合計12隻を出します。

 レールガンは、このうちのたかなみ型とむらさめ型合計13隻に載せます。これらの配置としては、朝鮮海峡にレールガン搭載艦5隻、尖閣海域には7隻としますが、防空を担うイージス艦は対馬に2隻、尖閣に3隻としてレールガン未搭載艦のあさぎり2隻あさぎり6隻は対馬に2隻、尖閣に6隻を配置します。また、いずも級2艦はいずれも尖閣に配置し、潜水艦は対馬、尖閣それぞれ4隻と8隻とします」

「うーん、そうすると対馬には海上艦が9隻、尖閣にはいずも2隻に他の海上艦が16隻か。数だけで言えば劣勢だな。空はどうかな?」

「はい、すでに報告の通り、改F4ファントムが25機実用になっており、これらには最新の電子機器及び武装をしています。とりわけ、ガンポットをそれぞれ翼に2基ずつぶら下げているので、圧倒的な優速を生かして相当な数の敵機を食えるはずです。ただ、8機は韓国の航空攻撃要撃及び核ミサイル用として、九州の築城基地に配置しまして、残り17機はいずも級に載せます。


 さらに、築城にF15 が30機、F2が20機、沖縄にF15が100機、F2を50機配置して出撃します。また航空管制機は対馬上空に1機を尖閣方面に2機を配置します」航空幕僚長が説明する。


「うーん、厳しいな。鍵は200kmの射程を持つレールガンとマッハ6を出せる改F4をどう使うかだな。海上幕僚長、航空幕僚長どう考える?」大臣が聞くのにまず海上幕僚長が答える。


「問題は、結局憲法第9条なのです。このレールガンがあれば、武装して我が国に向かって艦隊運動するという時点で敵対行為なのですから、少なくとも公海上にあるうちに100km以上のかなたからすべての敵艦を殲滅できます。

 ところが憲法の制約で自国の領海わずか18海里に入ってかつ、相手が撃った後ようやく反撃できますので、こうなると殆ど相打ちで、こちらにも甚大な被害がでます。

 せめて、警告の上で領海に入った瞬間に攻撃できるようにしていただければ、こちらの被害も抑えて反撃が可能になります」この答えに防衛大臣佐川がきっぱり言う。


「かまわない、警告の上、領海に入った瞬間に攻撃してよろしい。防衛大臣の職責において許可します」それから、首相と官房長官を向いて言う。


「首相、私はこのように憲法のために若者が無駄に死ぬのは耐えられません。すべては私の責任においてこの件は許可します。この紛争が終わった後は政治から身を引きます」

 いつもはにこやかでひょうきんな防衛大臣の、覚悟を決めた表情に出席している首相に官房長官も何も言わず頷く。


「大臣、有難うございます。これで、レールガンを生かした作戦が立てられます」海上幕僚長ほかの制服組は起立して佐川に頭を下げる。


「さて、そういうことであれば、海上の戦いはレールガンの射程を生かした戦いにしたいと思います。すなわち、対馬の場合、艦隊は対馬から150kmほど離れた位置で対峙し、尖閣の場合は尖閣領海からやはり150kmほど下がった位置で待ちかまえます。

 これは、対艦ミサイルの射程内でありますが、防衛が容易な距離でかつ、レールガンと射撃管制装置があれば必中距離と言う意味でこの距離をとります。射撃戦ではアウトレンジするというのは、艦船乗りの理想ですからね」

 海上幕僚長は笑いを浮かべ、さらに言う。


「ちなみに、レールガンの威力としては150km程度の距離で終末速度が7km/秒程度になりますので、100mmの弾による試射の結果から言えば、敵の艦体に径1m以上の大穴が空きます。

 従って、当たり所にもよりますが戦闘不能になる可能性が高いと見ていますので、1艦に2〜3発を当てるのを原則と考えています」

 

 続いて、航空幕僚長から話があって、航空部隊としてはやはり重力エンジンを積んだ、改F4の速度と足の長さ及び制限のない高度を極力生かした戦いにするということで、空での交戦は海上で火蓋を切ってからにするという原則が確認された。


 また、基本的には交戦開始時には改F4は高高度3万m程度に上がってから、一気に敵編隊に迫ってまず6基の対空ミサイルで出来るだけ敵を叩いて、それから機体内の銃弾と2つのガンポットの銃弾を使い果たすまで、銃撃で敵機を撃墜することにしているということだ。そうすることで数の優位を確立してF15やF2の出番を作ることとしている。


 最後に首相の言葉があった。

「私も、できればこうした戦いは避けたいと思っています。あと半年あれば、弾道ミサイルについても迎撃態勢が完全に整いますのでそれは世界に向けて発表します。

 しかし、中途半端な体制しか取れない今の状態で発表すると、裏をかかれる恐れがありますから、残念ながら攻めた来るものたちを迎撃をして、かれらに日本に対する攻撃が無謀と思わせる目に合わせるしかないと思っています。


 対馬は明らかに日本固有の領土です。尖閣もまたしかりであり、もしこれらを譲るようなことがあれば、次は九州、沖縄を狙ってくるような相手が今回の敵の国です。

 

 さらに、韓国に対しては、今回の無謀かつ自分勝手な試みに対しては懲罰を与える必要があります。我が国は竹島については、正当な所有の根拠があるにもかかわらず、これがために決定的な対立をするほどでもないと自制してきました。

 結局それをいいことに、対馬については全く領有の根拠がないにも関わらず今回こういう暴挙を企てるに至っております。私は従って、かの国にはこうした行為には報いがあると思い知らせる必要があると判断します。


 この、対馬防衛戦の様相にもよりますが、最小限の被害で終わった場合には、この作戦が終了し次第、竹島奪還を続いて行うように準備をお願いします。実行の可否は、防衛大臣と相談のうえで決定して、防衛大臣を通じて指示します。その前に、本2件、対馬と尖閣の戦いについては、我が国の運命がかかっています。皆さんの最大限の努力を期待します」


 X-day当日、情報通りに韓国の艦隊である戦闘艦12隻及び上陸強襲艦1隻と輸送艦5隻の合計18隻はチェジュ島付近に差し掛かっている。

 X-day朝、韓国に日本の公館として唯一残っているソウルの日本大使館の一等書記官に、韓国外務省の知合いの参事官から電話が入った。

 彼の言うには、「自分は反対したのだが、対馬を独島のごとく取り返すための艦隊が出発した。その艦隊にもし自衛隊が抵抗して被害が生じて韓国兵の人命が損なわれるようなことがあれば、北朝鮮から福岡あたりに核ミサイルを撃ち込む準備をしているらしい。全く狂っているが、狂人には逆らえないのでどうか、自衛隊による反撃はやめてほしい」というものである。

 意図は明白であるが、さすがに文章としては出せなかったらしく、こういう形にしたようだ。

 この電話は録音され、直ちに翻訳されて、日本政府に伝わり、これを受けて佐治官房長官が直ちに記者会見を開き、これを公表し宣言した。


「実際に韓国は18隻の艦隊を対馬に向かわせております。これに対して、我が国は韓国政府の暴挙に強く抗議するとともに、もし領海内に一歩でもその艦艇が立ち入った場合には、侵略の意図ありとして直ちにこれを撃破します。

 繰り返しますが、もしこの艦隊が領海内に立ち入った場合には直ちにその艦隊がすべて侵略の意図があるとみなして、これを撃破します。このことは明確に警告します。

 なお、先に紹介した韓国外務省筋の脅迫では、もし我が国の自衛隊が反撃した場合には核ミサイルを使うとの話がありました。

 我が国は、実際に韓国及び北朝鮮は核ミサイルを発射するような馬鹿な真似はしないと信じてはおりますが、脅迫の対象となった福岡市及びその周辺の方々は不安に思われていることと思います。しかし、我が国は仮にその核ミサイルが発射されても確実に迎撃する手段があります。どうぞご安心ください。これをご覧ください」官房長官はA3版の写真を示した。


「これは、レールガンとその管制装置です。これは口径100mmの弾丸を秒速10kmで打ち出す能力を持っており、朝鮮半島から飛来するミサイルを確実に撃ち落とせます」

 記者会見場は大騒ぎになったが、むろんこの映像は韓国でも見られており、大統領のキムはこれを見て言う。

「これははったりだ。いきなり秒速10kmのレールガンが出来るわけがない。

 また、迎撃するはずの日本艦隊は、まだ130km離れた佐世保付近に留まっており、動く様子がなく迎撃できる体制にない。やはり、核ミサイルが怖いのだ。占領艦隊は進ませろ。また領海を越えるときはエアカバーのため戦闘機を全力出撃させろ」キムは一息入れて、外務長官に命じる。


「日本の要求を跳ね付けろ。『対馬は独島と同様に歴史的に我が国の領土であり。これを接収することは我が国の権利だ。我が国が核ミサイルを撃ち込みなどと言ったことはないが、北朝鮮側の意思は我々の及ぶところではない。しかし、防げると言った以上本当の発射がありうるのではないか』とな」

 この声明はすぐに日本側に通達されて、韓国国民の喝采と日本国民の憤激を呼んだ。

 韓国側の探知の通り、日本艦隊9隻は佐世保近海に留まって、レールガンの発射準備に余念がない。


 その日、官房長官はもう一度緊急の記者会見を開く羽目になった。

「先ほど入って情報によると、空母遼寧及び25隻に及ぶ駆逐艦等の戦闘艦及び3隻の兵員輸送船が尖閣諸島沖に迫っています。これは、明らかに尖閣諸島の占領を目指していると思われます。

 我が国は直ちに中国政府に対し、厳重に抗議し、直ちにこれらの艦隊に退くように要求しています。

 これに対しても、対韓国と同様に我が国は中国政府に宣告します。

 尖閣諸島に中国軍が上陸した場合、これを我が国領土に対する侵略行為として直ちに我が国はこれを撃破します。また、中国軍の航空機が尖閣諸島に近づく場合にはこれも侵略行為に加担するものとしてこれも撃破します。

 繰り返します。中国軍または当該艦隊に護衛された民間人と称するものが尖閣諸島に上陸した場合、我が国はこの上陸したもの及び現在尖閣諸島に接近中の艦隊全てを撃破します。またこの空域に近づく軍用機もこれを撃破します」


 この官房長官の発表に対しては、記者から『領海の境界を越えた時点で自動的に攻撃するのは憲法違反ではないか』との質問が出た。これに対する官房長官の答えは以下であり、国民の共感を呼んだ。

「たしかに、憲法違反かもしれません。しかし、今日2件の報告をしたように韓国と中国がたぶん示し合わせて我が国を武力で侵略しようとしています。これに対しては、武力を持って抵抗するしかない。

 そうでなければ、対馬、尖閣は取られてしまうでしょう。そのくらいはいいじゃないかと言う人もいるでしょう。しかし、そうすると間違いなく次は沖縄、九州です。

 従って、これは絶対に看過できません。また抵抗するためには、自衛隊に戦ってもらう必要があります。その時、出動する自衛隊員に平和憲法があるから、まず最初に撃たれて死んでくれと言えますか? 私には言えません。

 実は先日の会議の際に、自衛隊の制服組から警告をしたうえで領海の線を越えたら攻撃をさせてくれいう話がありました。そうでないと莫大な損害が出ると」


 官房長官は報道関係者を見渡して言葉をいったん切りさらに続ける。

「その時に防衛大臣の佐川さんが自分の職責において許可すると言いました。そして、彼はその後その責任を取って、政治家を辞めると。その時に総理と私は彼のような立派な政治家を辞めさせるようなことをしてはならないと話し合い、これは内閣としての決定としました」

 これに対してA新聞の記者が追求しようとしたが、周囲から睨みつけられて黙ってしまった。



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