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死んだ日
春の雷鳴がとどろき、暑いくらいの空気が大粒の雨に冷やされる。
川にかかる橋が、水かさを増した流れに沈黙のまま耐えていた。
河川敷で散歩や野球の練習をしていた人々は、煙のごとく消えていて、夜とは違う暗雲の暗さに、いつもの風景が不気味に見える。
通学路ではない川沿いの道にどうして俺は居たのか。
何故、橋の下で身体中に激痛をかかえ、座り込んでいるのか。
思考はまとまらず、遠くなる意識の終わる寸前、俺は確かに少女を見た。
大雨の最中、橋の下の外でずぶ濡れになりながら、雨を孕んでぶちまけた真っ黒な雲と同じ影に染まって、少女は━━━掛上つばめは俺をしっかりと見つめていた。