最終話
残り2日
結局、お金を集める手立てがみつからず今、銀行にあるお金を全額引き出しに行った。
思ったより少なく1136万しかなかった!
加代のお金を足して1851万あと約150万、まったく手立てが無かった!
150万ぐらいなら犯人に気づかれないのではないかとも考えたが数えられたら終わりだ。
正直に犯人に話すしかないとも考えたが悩んでいる。
それから只管、知人や家族に電話を掛けたが結局、誰一人貸してくれる人物はいなかった。
そして夜になり犯人からの電話がきた。
犯人『金は集まったか?』
昭雄『1850万しか集められなかった!頼む1850万で愛菜を返して貰えないでしょうか?お願いします!愛菜を返して下さい』
犯人『いいだろう』
意外とあっさり手を打ってくれた!
犯人『では、お金の受け渡し方法を今から教える。お前のマンションの郵便ポストの扉の裏に昨日、話した駅のロッカーの鍵が貼り付けてある。明日の17時にそのロッカーに茶色のボストンバッグにお金を詰めて入れろ!そして、そのロッカーの鍵を◯◯公園の噴水前の田中というホームレスに渡せ』
翌日
朝、部長からの電話が鳴り会社の事をすっかり忘れていた私は風邪ということで有休をとった。部長はカナリ怒っていたが会社の事などどうでも良くなっていた。
私は、指定された通り茶色のボストンバッグを用意してお金をロッカーに入れ噴水前に行った!
噴水前には何人かいて戸惑ったが田中という人物が先に話しかけてきた。
ホームレスの割には身なりはキチンとしていて外見からホームレスだとはとても思えない格好だった。
田中に鍵を渡し愛菜の事を尋ねるが田中は何も知らずただ鍵を受け取るよう犯人に頼まれただけだった。
私は公園を出て田中を遠くから尾行したがすぐに撒かれてしまった。
仕方なく私はマンションに帰り加代と2人で犯人からの連絡を待ったがいくら待っても来なかったので警察に通報するか迷っていたが21時過ぎに呼び鈴がなりオートロックのカメラに愛菜が映っている姿が見えた。
すぐにオートロックを解除して急いで愛菜の元へ向かい加代と共に2人で愛菜を強く抱き締めた。
愛菜に外傷は見られなかったが疲れと精神的ショックから一言も喋らなくなっていた。
私達は愛菜を寝かしつけた後、すぐに警察に通報した。
暫くして警察官が何人もやって来て今までの経緯を全て説明した。愛菜にも事情を聞きたそうだったが今日は休ませたかったので明日、警察署に行く事を約束した。
翌朝
家族3人で警察署にもう一度説明しに行った。その前に会社に電話して部長に全てを説明した。部長は昨日の事を申し訳なさそうに謝ってくれた。そして暫くの休みを頂いた。
上司に謝られる事の気持ち良さに気分爽快で警察署に赴いた。
愛菜は結局、一言も喋らなく日を改めてもう一度伺う事を約束してマンションに帰った。
愛菜を病院に連れて行こうと思ったが3人で暮らしていけば治るだろうと思い少し待つ事にした。
マンションに帰り兄と家族に電話をした。
兄はちゃんと謝ってくれたが父は電話にも出ず母が心配してくれただけだった。
父にも謝って欲しかったがどうする事も出来なかった。
そして夜になりまだ疲れが残ってたので私はすぐに眠る事が出来た。
しかし、急に首元に激痛が走り苦しさで目を見開くとかすかに愛菜が包丁を持ち私の首元に何度も振りかざしているのが見えた!
私は夫の苦しむ声が微かに聞こえ目を覚ますと夫の首元には包丁が突き刺さっていた。
急いで電気をつけるとそこには血だらけの愛菜が座り込んでいた。
愛菜は一点だけを見つめ何度も謝っていた!
私は急いで救急車を呼んだ。
愛菜を抱き締め問いただしたが愛菜は謝るだけだった!




