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  作者: sakiyan
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加代

加代

私は愛菜の部屋に行き愛菜との思い出を振り返っていた。


愛菜が赤ん坊の頃はよく泣き、声も大きくて子育ての大変さを思い知らされたがそれでもとても愛おしかった。そして夜中に泣こうが夫は嫌な顔せず娘の面倒を看てくれた。


2才ぐらいからある程度喋れるようになった!


そして3才になり幼稚園に通わせる事にしたが泣きグセがありワガママな子なので友達が出来るのか周りに迷惑かけないかが心配だった。数週間通わせてから幼稚園の先生に思い切って娘の事を尋ねてみた。するとどうやら幼稚園では全く泣かないらしい。しかも友達の面倒も良くみてとても優しい子だったのだ!

その事に私は大変驚かされたがもしかしたら愛菜は家では甘えてたのかもしれないと思い愛菜の事をより一層、愛おしく感じた。


そして小学生に上がる前には泣くことも減りわがままも少なくなったので寂しさもあったが娘の成長に喜びを感じもした。


そして徐々に成長していったが娘は私と夫にとても懐いてくれていたので私はとても幸せだった。そしてこんなかたちで幸せが壊されるとは思ってもいなかった。



夫が会社に向かうとすぐに気を引き締め愛菜の通う小学校に電話をし風邪で行けない事を連絡しお母さんにお金を借りる電話をする事にした。お母さんとはちょくちょく連絡をとっていたので電話番号は頭の中に入っていた。

何度か呼び出し音が鳴り頭の中では何て言おうか考えて心臓の鼓動が速まっていた!少し間はあったが電話が繋がった。


『もしもしお母さん?』私の声に母はすぐに気付いた。

『あら、加代⁉︎どうしたのこんな朝早くから?』

母の朝は早いが私がこんな時間に電話するのは珍しい事だったので少し驚いていた!

『あのね、お金を貸して欲しいの!』

母『どうしたの⁉︎急に⁉︎昭雄さんには?』

加代『あのね⁉︎昭雄さん、2ヶ月ほど前に会社をクビになったの!今月しのげばなんとかなるから少しでもいい。お金を貸してくれないかな?』母に嘘をついてしまった!罪悪感で胸が苦しくなった。


母『なんでもっと早く相談してくれなかったの⁉︎5万ぐらいならなんとかなりそうだけど...これから大丈夫なの?』

加代『ありがとう。昭雄さんは今月から働き始めてるから今月さえ凌げればなんとかなるから安心して⁉︎お母さん、ごめんね』

母『そうなの⁉︎じゃあ今日中に振り込むから振り込んだら電話するわね』

加代『本当にありがとう!心配かけてごめんね』と言い私は電話を切った。私は涙が出そうだった!心の中で何度もお母さんにごめんねと謝った!


しばらくすると母から電話があり通帳と印鑑を持って銀行に向かった。

銀行で私の貯金113万と母から借りた5万を引き出した頃には13時をまわっていた。こんな時でもお腹が空いていた!愛菜はちゃんと食べられているか心配になった。


そしてマンションに着いて愛菜の事だけを考えていた。


電話が鳴り気がつくと20時をまわっていた!夫からの電話だった。仕事で遅くなるとの事だった!

こんな時でも仕事をする夫に怒りを感じて無言のまま電話を切った。



弁当を2つ買って帰宅すると妻はあきらかに呆れていたが今はそんな事で揉めてる場合ではないので妻にお金の事を聞いた。

妻も同じ気持ちだったのだろう返事がすぐに返ってきた。

『お母さんに借りた5万と私の貯金113万で118万円ならなんとか用意できた!あなたは?』

少し言葉に詰まった。

『20万なら借りられそうだ。たぶん明日には振り込まれてると思う。明日は仕事も休みだし兄貴と両親にお金を借りに行こうと思ってる』

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