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  作者: sakiyan
2/7

会社

残り4日

翌朝

結局一睡も出来なかった!

妻も眠れなかったのだろう⁉︎

私がベッドから体を起こすと妻はすぐに起き上がりダイニングに向かった。私はジャケットとネクタイを付けダイニングに向かうと妻がいない!


妻は憔悴しきった顔で愛菜の部屋にいた!妻の事が心配だったが後は頼んだぞと言い妻の返事がないまま私は会社に向かった。


いつもの満員電車の中一睡も出来なかった私は何度も景色が飛んだ。どうやら少しは眠れたようだ。


会社に着くとチャラい部下の井上が挨拶をしてきた。

『おはようございます!課長、今日は顔色が良くないですね!昨日、飲みすぎたんじゃないですか〜?あれ⁉︎指、包帯なんて巻いてどうしたんですか?』

空気も読まず私に話しかけてきた。

こいつのチャラさにはいつもムカついて何度も怒鳴りつけてたが私は笑顔で大丈夫だよと返した。

私の笑顔に井上はかなり驚いていたが逆に私の笑顔が相当怖かったのだろう!

その様子が顔に現れていた!犯人の仲間がもしかしたら会社の中に居るかも知れないので刺激するような事は出来ない。今日だけは良い人になろうと決めていた!


自分のデスクに向かい仕事を取り掛かるとすぐにみんなが出社してきた。

よっぽど私の顔色が悪かったのだろう?何人かは私に心配してる素振りを見せるなりすぐにみんな仕事に取り掛かった。

私は仕事をしながら犯人の仲間探しを始めた。みんな怪しいが何人かに的を絞ることにした。井上、野口、櫻井、柳田、伊藤のこの5人が怪しいだろう。


野口、この女はデブで見るだけで嫌悪感を抱いていた!当然この女には強く当たっていた。


そして櫻井は若く顔が整っていてスタイル抜群の女だ。何度もセクハラじみた事をした。頭の中では何度もレイプした!



柳田、この男は容姿端麗で仕事ができかなり優秀な奴だがそれが気に入らなかった。こいつには何度も言いがかりを付けては叱っていた。当然、柳田は間違ったことはしてないのだが謝りながらも自分は正しいですと顔にはでていた。それが更に俺を怒らせていた!


伊藤、この男はおとなしくまったく仕事が出来ない!いくら教えても物覚えが悪すぎる。退職願を出させようと酒の席で何度もイビリ倒した!だがそれは俺のせいではないこいつが仕事が出来ないせいだ!こいつの事、考えるだけでイライラしてきた!

ダメだ!ダメだ!今日だけは抑えなくては!



そんな事を考えていると携帯に非通知の電話がかかってきた。

私は犯人からだと思い部署を出て電話に出た。

『出社するなんて随分余裕だな』やはり犯人からだった。


『会社の仲間にお金を借りようと思ってたんです。必ずお金は用意するから娘には手をださないで下さい』


犯人は急に笑い出した!

『会社の仲間に⁉︎お前が⁉︎本当に金を貸してくれると思っているのか⁉︎』

犯人はまた笑い出した!

『まぁせいぜい頑張れや!それとお金が早く用意出来ればお前の娘の解放も早くなるから出来るだけ早く用意するんだな』と言い電話を切られた!


やはり何処かで俺は見張られているみたいだ。もしくは犯人の仲間がこの会社にいて犯人と連絡を取っているのか⁉︎私は部署に戻り仕事をしながら注意深く観察した。


それにしても犯人は俺の事をどこまで知っているのだろうかと疑問が湧いた。



そうこうしてるうちに昼休みが来たので部署は違うが同期の清水の元に向かった。

清水は私に気付くともうすぐでひと段落するから少し待ってくれとの事だったので私は少し待つ事にした。

この清水という男にはいつも心の中で嫉妬していた。それは私より早く出世したからだった。どうせ運が良かっただけなんだろう⁉︎同じ部署だったらお前なんか絶対に俺より出世してるわけがないはずだ⁉︎と思ってはいるが私は顔に出さず友達付き合いをしている。お金を貸してもらえそうな奴は唯一こいつしかいなかった。


どうやら清水は仕事がひと段落ついたらしい!

『お疲れ!どうしたお前が来るなんて珍しいな⁉︎飯の誘いか?それとも仕事で何かあったか?とりあえず飯でも食べに行くか?』


私は静かでゆっくりと話せる場所にしたいと言い会社の近くのあまり人が入ってなさそうな少しばかり年期の入った喫茶店に入る事にした。思った通り客はサラリーマン風の中年男と離れたところにOLが2人窓際の席で食事をしながら大きな声で話し込んでるだけだった。

私達は他の客とは離れた店の奥の壁際の席についた。席に着くとすぐに店員が来たので私達はコーヒーとパスタを頼んだ。



話しは清水から切り出してきた。

『で?どうしたんだ?顔色も良くないし、指はどうしたんだ?なんかヤバい事なのか?』

私は率直にお金を貸してくれないか?と尋ねた。

清水『いやいや⁉︎いきなりお金を貸して欲しいと言われても大金だったら貸せないよ。ちなみにいくら貸して欲しいんだ?』


昭雄『300万ほど貸してくれないか?』


清水『300万⁉︎無理だよ!そんな大金貸せるわけないだろ!だいたい理由もまだ聞いてないしその指と何か関係があるのか?』


実はギャンブルで闇金に金を借りてしまい返せなくて何度も腹を殴られ倒れた時に指を打撲したと嘘をついた。


頼んでたコーヒーが来たのでコーヒーを二口飲んで一旦二人とも落ち着いてまた話を始めた。


清水『だったら俺なんかに相談してないで弁護士に相談した方がいいぞ!闇金なんて違法なんだからお金も払わないで済むかも知れないぞ⁉︎』


確かに!こいつの言ってる事は正論だ!私は少し焦ったが頭をフル回転させて何とか知恵を絞り出した。


昭雄『それが悪質な闇金でもし弁護士なんかに相談したら会社まで乗り込んできて俺は会社をクビになるかも知れない。もしそんな事になったら家族も食わせていけなくなってしまう。頼む100万でもいいから貸してくれないか?』

これでどうだ⁉︎どうせお前なんか独り身でかなり蓄えているんだろ⁉︎大してお金の使い道ないんだから300万ぐらい貸せよ!


清水『いやいや⁉︎100万でも無理だよ』

このクズが100万でも無理だー!なんてせこい奴なんだ!


昭雄『頼む少しでもいいからお金を貸して下さい』


清水『だいたいお前ねぇ!お前とは同期で何度も飲みに誘ったけどほとんどお前は断ってきたしプライベートで遊んだこともないんだぞ』清水は少しキレていたがコーヒーを一口飲み少し落ち着きを取り戻した。

私は図星を突かれて何も言えなかった!



少しばかり沈黙が流れた。



清水『仕方ない!腐っても同期だ20万なら貸してやるからお前の銀行口座教えろ!明日には振り込んでやるよ。ただし落ち着いたら絶対に返せよな!絶対だからな!』


礼をして私は持っていたメモ帳に銀行と口座番号を書いて清水に渡した。


昭雄『本当にありがとう!お前はいい奴だな!お前の優しさには涙が出てくるよ』っと演技をして清水に感謝する素振りをした!たったの20万かよ。俺との仲は20万の関係ってことか!今まで距離を置いてたのもあるかもしれないけどなんてセコい奴なんだ!ムカつく野郎だ!絶対に借りた金は返さねえよ!

そしてパスタが運ばれてきた。


清水『これ食べて元気出して仕事頑張ろうな』っと俺を元気づけたつもりみたいだがそれが更に腹立たしかった。俺はありがとうとしか言えずパスタを食べた。


パスタを食べ終えると清水が『ここは俺の奢りだ』と偉そうに支払いをレジで済ませた。


そして私達は会社に戻り仕事を再開した。



今日は適当に仕事を切り上げて早く帰るつもりだったがなかなか仕事が捗らずしかも部長が残ってたせいで残業になっていた。妻が心配だったので仕事半ばで電話する事にした。電話するとすぐに繋がった。


『ごめん!すぐに帰るつもりだったんだけど部長から抜けれなくて帰るの遅くなる』と告げると無言で電話を切られた!

相当、怒ってるのであろう!こんな時に仕事なんて自分にも怒りがわいていた!ようやく仕事が終わり時計を見ると22時をまわっていた。部長に挨拶するとすぐに家路に向かった。





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